【写真日記172】顔たち、ところどころ

顔たち、ところどころ」という映画を見た。

歳の離れた二人が旅をしながらその地域の人々の顔を撮影して、大きく引き伸ばした写真を街の壁に貼っていくというプロジェクトを行っていく様子をおさめたロードムービー調のドキュメンタリー。

50歳以上も年の差のある二人だけれど、撮影の協力者というよりは、本当に家族のようなふるまいでしかも母と子、おばちゃんと孫という感じでもなくて、ときにカップルのようなそんな一面まで演出?されている。

一方で、劇中に出てくる作品は、地域の活性化につながる試みとして、コミュニティには受け入れられていくが、一歩中心から遠ざかり作品とその鑑賞者を俯瞰してみると、僕たちは、見たいものを見たいようにしか見ていないということを再認識することにもつながった。

見る人によって注目するポイントは違うだろうけど、個人的にはすごく良い時間を過ごした映画だった。(出演する猫のおかげ説もあるけど)

劇中にて、監督のアニエス・ヴェルダが発した印象的だった言葉がある。だいたいこんな感じ。

「撮影しているとなにかが起こる。偶然は映画の助監督よ。」

これはもちろん映画の中の話だけではない。人生の主役を演じる俳優であり、そして監督である僕たちは、その助監督のアシスト(偶然もしくは奇跡の存在)をちゃんと気づいて、かつ取り入れられるような、そんな余裕のある人間でありたいとその言葉を聞いて、思ちゃったりしたのである。

なんてことを鑑賞後入った安居酒屋で、やっかましい団体さんを横目に見ながら、焼鳥とうっすいハイボールを喉に流し込みつつ講釈を垂れるのであった。

顔たち、ところどころ公式HPはこちら

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