【写真日記42】日常と非日常

スペイン巡礼から1年経て、
冷静にもう一度捉えなおす時が来た。

あの旅で得たものは何か?
失ったものは何か?

変わったものは何か?
変わらなかったものは何か?

約800km、1ヶ月歩き続け、
10000回以上シャッターを切った。

14kgのザックを背負い、
アングルを変えてカメラを構えた。

まずは足の皮が剥け、爪が剥がれた。
そして足首、膝が悲鳴を上げ、
腰に背中に違和感を感じるようになった。

でも見るもの全てが新しかった。
だから楽しかった、だから辞めなかった。

でもいつしか新鮮さを感じなくなった、
当たり前になった。

非日常だったものが、あたらしい日常となり、
これまでの日常が非日常に置き換わる感覚。

怖くなった。

大切なことは特別な場所で特別な何かを見つけることではない、
普段の生活で特別な何かを見つけることこそ大切なのだ。

そんなことに気がついてから意図的に、僕は小さな世界に注目した。
見せられる世界ではなく、見ようとする世界に。

上を向いて歩こうもいいけど下を向いて、歩いてもいいのだ。

日々目に飛び込んでくる雄大な自然の下で、
懸命に生きるカタツムリやワームに死んでしまったカエル。

風にゆれる名もなき花、
朝露をまとった道端の葉、
太陽の陽に照らされた綿毛の1つずつ。

小さな世界に無限の大きさ、力強さを感じる出会いが待っている。

世界が拓けた。

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