【スペイン巡礼16日目】ひたすら地平線を追いかける直線路。頭の道。


■本日の工程
2016年4月26日 巡礼16日目
ヴィラカサルデシルガ(7:15 )→レディゴス(15:10) 28.5km

意識的に非日常的な(珍しい)ものを探そうとして、あたりを見渡す。上を向いてあるかなきゃと意識していたけど、今日は下を見たり、大きな景色ではなく対象物を小さく捉えてみようと思う。

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スタートが早いと朝がまだいない。

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少し時間がたってようやく朝が起きてくる

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朝焼けの綺麗さを感じるこの時間にいつも心が洗われる

日常と非日常が入れ替わりつつあることに危機感を感じる

それは綺麗で新鮮だった景色(僕にとっての非日常)が見慣れた風景(日常)に変わってきていることを感じたからだ。当たりまでなかったものが当たり前に変わってきたんなだなあと自分の中に変化を感じる。危機感と言ってもいいかもしれない。

用水路や雑草に目を向ける。カタツムリがたくさんいる。上を向いて歩くことは大切だけど、それだけじゃだめなのかも、、、時には下を向くことで得られるものもある。簡単なことで、要は両方大事だということ。しかもそんなに難しいことじゃない。人の変化、動物の変化、植物の変化、気候の変化、、、少し周りに気を配るだけ。

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側溝をみればカタツムリがいっぱい

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朝焼けに輝く道端の花

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でも下ばかりでもいけない、こんなにきれいな空を見たことはない。毎日感動したいのだ

別にカタツムリに教えてもらわなくてもそんなことはわかってるはずなんだけど、どこか安全な殻に閉じこもりたがる自分がいたことを知っている。住みやすい場所から出ようとしない自分がいたことを知っている。ここに来る前に過ごしていた、今はもはや非日常に変わりつつある世界に戻っても忘れずに意識しておきたいことの1つだなあと。

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サンティアゴまであと463km、もうすぐ半分。ジャックの朝のテンションは本当に大したものだと思う

ペリグリーノ(巡礼者)ショップで自分用のお土産のカフスを買う。安くはなかったけど高くもなかった。デザインがスペインのカラーで、この辺りのシンボル?の牛、なかなかいい。軽いしちょうどいいやと。(自分がしんどくなるので、おみやげ重いのは絶対ダメ!)

あと、雨の日のためにカメラを入れるウエストバッグを購入(今頃か)。なんと簡易リュックにもなるので、最期に土産入れるのにも使えそう。変なロゴ。なんだこれ?モグラ?両方で44ユーロ。観光客用の店なのに良心的なのか、ボッタクてこの金額なのか、何れにしても日本よりかは安いのでまあいいか。ここは非日常感を感じれて安心したw(写真なくてすいません)

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猫を見つけたから今日は良い日とする

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ありがたそうな像もあるので良い日とする(だいたい毎日見かける)

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なんかすごそうな壁面アートを・・・もうええか

心の持ちようが変わる、考え方が変わる

途中ペリグリーノを乗せる馬車に追い越される。いろんな巡礼の仕方がある。僕なんかは絶対歩きがいいとか思ってしまうけど、そんなに頑なにならなくてもやりたいようにやればいいのだよねえと反省する。巡礼できればそれはそれでよいわけで、それぞれの価値観、こだわりなだけで・・・だから自分のやりたいようにやればいいし、それを人に押し付けることはただの傲慢にほかならない。

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いろんな周りかたがある。

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よく見ると昨日会った親子が乗っていた。お母さんが足が悪いので、いろんな手段で巡礼していると言っていた

歩いて考えようと日本から持ってきた悩みや問題。歩いて答えがでるほど甘くはなくて、やっぱり答えは出ないのだけど、でも、答えを出そうとする自分の心の持ちようや、考え方は変わってきている気がする。これまでの自分が答えを出せなくても、少し変わった自分ならその問題にどう向き合うのだろうか。

なんて思っていると、少し離れた水辺からカエルの合唱。小さな頃おばあちゃんのお家で聞いてから随分聞いていなかったけど、まさかこんなところで聞けるとはね。かわり映えのないまっすぐな道にちょっとしたアクセント。ありがとうございます。

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カエルの合唱地帯。げーこげーこ聞こえてくる

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スペインらしいでっかいトラクター、後ろから来たら、ビビる!

10kmひたすら地平線を追いかける先が見えない直線路

今日は約30キロ、そのうちただひたすらまっすぐの砂利道が10キロ続く。これは猛烈につらかった。道の先が点になってる。お世辞にも楽しい道とは言えない。正直に言うと辛い・疲れる・つまらないの3Tの最高峰。

そういう意味でカエルの合唱はとってもありがたかったんだけど、合唱地帯が終わると再び自分の足音しか聞こえない。砂利道を踏みしめる「ジャリジャリ」「ギュムギュム」という音。みんなそこまで歩くペースが変わるわけではないので、基本的に一度巡礼者同士の間隔が開くと、聞こえてくるのはたまに小鳥がぴよぴよ言ってる囀りくらいだ。

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先が見えないストレートな路・・・

このフランス人の道ではだいたい、10km位の間隔では町があって、軽めに休憩できるのだけど、本当に何もない。休憩用のベンチがたまに置いてあるだけ。だけど、そんな路に出くわすと自分と向き合うしかなくなる。来る前に読んでいたスペイン巡礼本によると、このフランス人の道は全工程の最初の1/3は肉体の道、そして今歩く中盤の1/3の道は頭の道、後半の1/3は精神の道と言われていると書かれてあった。

肉体の道はまだ歩きはじめで体もできていないし、その上山越えなんかもあってかなり肉体的にきついのである、そしてこの頭の道、まさにそのとおりだと実感するのが特に今日のこの道。起伏の激しかった山道からなだらかな道が多くなってきて、景色が全く変わらない。とりようによっては全くつまらない道だ。

でも、だからこそ考えることができる、自分と思う存分対話することができる。ゆえの頭の道。「ジャリジャリ」「ギュムギュム」という音だけを耳に、自分に問いかけてみる。「どうしてここにいるの?」「なんでここにいるの?」「答えは見つかった?」

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歩いても歩いても景色は変わらない。新たな答えも見つからない。

景色は変わらず、足元の砂利の大きさ以外全く変わり映えのない永遠につづきそうだと思っていた道も、何度目かの登り坂を登りきったとき、すぐその下にポイントとなるBARが見えた。地図によるとこのBARが見えたら次の街までもうすぐだ。

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うおーやっとついたあ!という気持ちがすごい高ぶった町

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すかさずビールを頼む、いつだって喉の渇きを潤すのはこの黄金の水

流された選択からは何も産まれない

ビールは飲んだものの、やはり体力は限界近い。しかしぜったい次の街のアルベルゲでは泊まってはいけない、と事前情報で聞いていた。どうしようかと悩んだ末、ならアルベルゲでなく、いっしょにいたメンバーで大きめのペンションを借りようということなり、それならばと次の街を目指すことにした。

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街へ向かう途中。小便小僧・・・?

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何してるんだよ、あんなに疲れてたのにジャックw

そして結局絶対泊まるまいと思ってたアルベルゲで泊まることになってしまった。ペンションが全て借りられていたのだ。もういっかい言うけど日本で事前にブログを読んでるとき、やめとけと書いてた街。それでもみんなここに泊まる空気になっているので、仕方なくそれに従った。何となくの空気による選択、というか選択すらしていない。そこに一緒にいて金を払っただけ・・・

おっしゃるとおり。ダメダコリャだわ。まず街自体がめちゃくちゃ寒いこと。次に風呂がボロボロ。シャワー壊れて使えない上に、出てくる湯がぬるすぎる。凍える覚悟で風呂に入る。こういう環境が悪いと、気分まで滅入ってくる。早く脱出したい。

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その町、レディゴス。

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うーんなんか、事前情報通りな気が・・・どんより曇ってるし、天候まで。。。

団体行動してるいることと、英語わかんないこと、あと疲れていて、どうでもいいかと思ってしまった。(いや疲れていたの言い訳だ。誰からが次の町に行こうと言ったら体全体で賛成しただろうし。)ああ、この時点で思考を止めてしまったのだ。次の街に行きたかったら、いけばよかったのだ。

自分が”本当はどうしたかったのか?”ということだ。周りに流され、気持ちを押し込める、年を重ねるにつれ、少しましになっていたように思うけど、まだまだちゃんと残っていた自分の悪いところだなあ、こんなとこまできて思い知らせていただけるなんて、なんて素敵な旅なのでしょう。

ま、それでも、ベリーファッキンブロークンシャワーを浴びた帰りにデイジーとばったり遭遇。同じアルベルゲに泊まっていたみたい。今は違うグループにいるみたいなので、感動の再会のみになったけども、彼女の元気そうな顔を見れてよかったなあと思う。どうやら彼女はデイビッドを追いかけて進んでいたみたい。

かわいいやつ(一方その頃ちなみにピンはちゃっかり女を作っていたらしい。)だなあと思う。でもデイビッドはまだ1日分の工程くらい先に居にいるみたいデイジーも足を痛めてるみたいだから思うように距離を縮められていないみたい。

■もう一度、一人になる決意

お腹が空いたのと、そのアルベルゲにいたくなくて、一人で外に出てバルを探す。一件見つけて、セルベッサとトルティージャで一人で楽しむ。なんにでもパンが付いてくるこの地方のしきたりが腹が減ってる今はありがたい。

昼に食ったパエージャにパンがついてきたときは味噌汁に牛乳がついてきた小学校時代を思い出したけど、焼きそばにご飯食う関西人と一緒といえば一緒やんけと、あとあと思ったこともやっぱり付け加えておくことにする。

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もはやこのどうしようもない気持ちを癒やしてくれるのはビールのみ

さて、明日からは少しペースを上げて現時点では34キロいこうと思う。ここからは自分のペース(泊まりたい街)でいこうと思っている。もしかしたら今日食べるご飯が残ったハッピーチームでの最後のご飯になる。泊まるアルベルゲはクソベルゲだったけど、ご飯は今までで一番美味しかったかも。(ソパデアホには負けるか。)

グリンピースとハムの煮たものとサーモンのステーキ。それにお気入りのナティーリャだ。今日のナティーリャはカスタードの上にクッキーが乗っていた。はまってこれで3回目。これをワインでいただくのが最高のデザート。

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グリンピースとベーコンの煮込んだやつ(見かけによらず美味い、玉子つき)

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サーモンのステーキ(これはまじでうまかった)

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ナティーリャ(シナモンがほんと絶妙)

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巡礼が長くなってくると顔見知りも増える。みんな顔をあわしたことがある気のいい人たち。レストランで一緒になった。

ご飯を食べてからナリが自分の漫画のキャラクターのピンバッジをくれた(ナリは韓国では漫画家らしい。)。ナリとは出発地点のサンジャンピエドポーから一緒だった。ハッピーチームの中でも一番長い、日本語も話せるから一番よく会話した。明日から離れて行動することになることを考えるととても悲しくなって、泣きはしなかったけど涙腺がゆるんだのがわかった。

彼女がいなかったらもっと違う旅になっていたと思う。彼女は一人でいくという僕に「やっぱり最後まで一緒に行こうよ」と言ってくれたけど、早めのペースで歩いていくことを選んだ。もしかしたら、ペースというか一人になりたかったのかもしれない。僕はピンバッジを枕元におき、やっぱり甘える気持ちを少し脇において、ここからは一人で歩こうと想いを新たに今日はちゃんと寝袋に入った。

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思えばナリとジャック結構一緒にいたなあ。

計画では明日でちょうどこの旅の折り返し地点。僕の旅は振り出しに戻って、また1人でスタート。でもこれでいい。だって自分で決めたんだからね。

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今日見かけた大きな大きな矢印

※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。


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