特殊清掃〜死体と向き合った男の20年の記録〜


とてもよい本に出会いました。

特殊清掃とは、通常の清掃業者では対応できないような遺体処理や不要品撤去、ゴミ部屋の清掃などを行う「特殊」な清掃を専門に取り扱う業者のこと。

こうした現場で20年あまり働いてきた「特掃隊長」が感じた心のうちを書籍にまとめてくれている。死ぬこと、生きることの意味、残される人の気持ちなどがストーリー調で彼の目線から描かれている。

我々が当然知らない内容なので興味をひくというこはもちろんあるけど、それを差し引いてもあまりある文章のタッチで物語に引き込まれる。

当然、人の死にまつわるエピソードなので、読んでいていい気分にはならないだろう、でも視野を広げるためと思って購入、ページをすすめていった。当然想像したくもないような悲惨な現場を描き、読み手としては言葉を失ってしまうようなストーリーもある、一方で実際はシリアスな場なのに、文章のタッチからかくすっと笑えてくるようなストーリー、心温まるストーリーなど、実に巧く表現されているなと驚いてしまった。

人の死というと通常生きていると、その家族や友人だったりと死んだ側の人間に鳴るのが普通でなかなか客観的に死というものに触れることは難しい。そんな世界の中で日々生きている彼はやはり見えているものが違うのかもしれないし、感じ方も違うのかもしれない。

本人も書籍の中で、死人に関して「特別な思い入れ」はないと、そのような表現をされていた(そりゃあったら仕事にならない)けど、何か彼から温かみというか、包み込むようなそんな空気が行間から感じられる。

「この人は、死なないような気がしていた」

これは長く結婚生活を続け、先立たれた夫を孫と一緒に囲んでいた女性の一言。死から逃れられないのは皆知ってる訳だけど、それでも僕よりもずっと長い人生経験を積まれている方が放つ言葉は言葉以上の重みを感じる。涙腺はけっこうきつめにしまっている僕だけど、ちょっとうるっときてしまった。

死を考えずに生きることは考えられない。そして考えようと思っても死というものは遠くて、やっぱり掴めないわけで堂々巡りになってしまう。そんな無知で能天気な僕たちに考えるきっかけ、考え方を授けてくれる良書だと思います。

ぜひご覧になってみてください!


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