【写真日記97】バタフライ・エフェクト

蝶の羽ばたきのような小さな変化一つで、
大きなものに影響を与えるカオス理論をバタフライ・エフェクトという。

数日前いつもの朝より10分遅く起きた日、
急いで支度をして僕は家を出た。

遅刻ギリギリ。

帳尻を合わせるために早歩きで駅に向かう。

いつもの経路、
今日はゴミを出さないから家を出て左手に歩く。

小さな公園を右手にずいずいと進み、
公園を過ぎると今度はセブンイレブンを左手に交差点を過ぎる。

保育園の角を右に曲がったところで、
頭にすごい衝撃を感じる。

何が起こったかはわからない、
あたりを見渡す。

緑色のゴムボールが跳ねている。

頭のなかで保育園とゴムボールが結びつく。

野球かなんかをしてて、ゴムボールが場外ホームラン、
運悪く歩いていた僕に直撃する。

とりあえず、ゴムボールを保育園に投げ返して、
駅に急ぐ。

まだじんじんとする頭の衝撃を確かめながら、
考える。

言うまでもなく、
めちゃくちゃ確率が低い出来事。

当たるか当たらないかでいうと、
限りなく当たらない確率には違いない。

でも当たった。

きっと宝くじだってそうだろう、
昨日でも明日でも1時間後でも5分前でもなく
そのときに買ったものが当たる。

もう、きっと当たる運命なのだ、
運命との約束なのだ。

ホームランを打つと先生の技術が格段にアップするとか、
少年の体質が変わるとかそんなことはありえない。

でも謎の野球選手がホームランを打ったら
手術が成功するのだ。

木の生命と風のご機嫌が寿命に関係することはない。

でも病室の窓から見える木の最後の葉っぱが散ったら
死んでしまうのだ。

何かは何かに関係しているのだ。
それも、わりと関係しているのだ。

僕がいつもより遅く起きたことによって、
世界の何かが変わった。

今日もどこかでバタフライ・エフェクトが起こっている。

ま、ゴムボールで良かったですよ。
でも思ったよりゴムボールって痛いんですねえ。

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