写真がある今、写実絵画を考える@ホキ美術館in千葉

写実絵画の展示「心ゆさぶる写実絵画ー今を生きる日本の作家たちー」をみるためにホキ美術館まで足を運んでみました。都内から2時間弱、千葉市緑区まで車を走らせる。

ホキ美術館は創業者の保木将夫さんによって集められた写実絵画を作品400点以上も収蔵していて、今の時代を生きる画家の作品を展示していくという一風変わった方針。だいたいは死んで名を馳せた大御所の展示というところでいくと、他の美術館とは一線を画しているのが感じてもらえると思います。

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建物も一風変わってる

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柵代わりに棒を刺しまくっているのは、近くの昭和の森公園の木の生え方によるものだとか

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入り口

作品を撮れなかったのは残念なのだけど(なので、買ってきたポストカードを撮ってみた)、いつも写真を撮り歩いている自分としてはいろいろ考えさせられる時間となった。そう、写実絵画というポイントである。

写実絵画、繊細なタッチで書き上げ、もう写真と区別がつかないくらいに、書き上げていく。見ていて鳥肌が立つようで、本当に絵のなのかと、絵にぶつかるほどの距離で細かな部分を確認した。

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森本草介 横になるポーズ この美術館のコレクション第一号 

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五味文彦 UTUSEMI 

写真が生まれた現代において、写実とは何を指すのか?目の前のものを正確に切り取るだけであれば100%写真には敵わない、そんなのは誰にだってわかる。でもあえて、絵で表現する理由、その「あえて」を考えてみたいと思った。

写真は「切り取る」ための手段だとしたら、絵は「浮き上がらせる」ための手段なのかもしれない。写真はありのままを切り取るが、絵はモデルとなるものの特徴的な部分を浮き上がらせることができるのかもしれない。

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藤原秀一 萩と猫

写真はシャッターを切れば一瞬でその光景を残すことができる。絵は手を付けてから2−3ヶ月、長いものだと1年を超えるまで完成することはない。同じものを見ても見え方は日々違うはずだし、なんというか発酵したり熟成してきたりするものもあるのかもしれないと思う。モデルと画家のエネルギーが合わさって生まれるのが写実絵画の素晴らしさなのかもしれない。

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石黒賢一郎 存在の在処

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石黒賢一郎 ガスマスクを被らなければならない

写真より写実絵画の方が優れているということではなくて、やっぱり両方すばらしいという結論になるのだけど、その熱量の込め方に違いがあるだけ、手段に違いがあるだけ。画家が絶えず筆を動かしているとの同じように、写真家はその一瞬に巡り合うべく常にシャッターを切っている。その熱量のぶつけ方に違いがあるだけ、という感じで結論づけた。

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ススキが秋の青空に映えていました。

よい美術館でした。ホキ美術館。また行きたいと思う。

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