【スペイン巡礼13日目】知らない世界を知りたい。歩く目的を探すための旅

 

■本日の工程
2016年4月23日 巡礼13日目
ブルゴス(8;00)→オンタナス(16:00)31,5km

疲れのたまり方も人それぞれ、今日はデイジーはゆっくりスタートだったので、なんとなくみんなバラバラでスタート。昨日の夜に朝ごはんを買うのを忘れていたので、次の街で朝食をとることにした。大きな街を過ぎると人が多くなるような気がする。

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国旗をなびかせ走るライダーたち

 

思いやりいっぱいの巡礼仲間

ほんとに老若男女いろんな人達が歩いてる。3世代にわたって歩いている人たちも見かけた。みんなそれぞれの思いがあって、でも同じ道を歩いてる。どんな人も拒まないのがカミーノなんだな、と改めてそう思う。

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三世代にわたって歩く旅

 

オレンジのジャケットにちょんまげ姿でカメラをぶら下げる東洋人は珍しいようで、ちょっとしたこともネタになっていたみたい。というのも数日前にカメラの充電器を忘れたことが広まっていて、歩く中で顔見知りの何人かに心配された。

「見つかったよ!」というと一緒に喜んでくれたりする。でも話しかけられる人によっては、いつの間にかバッテリーを忘れたことが、カメラが盗まれたという噂に変わっていたりしたらしくて、笑ってちゃんとあるよってカメラを掲げてみせたりした。

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カメラを向けると手をふってくる陽気な仲間

 

とりあえずペースがあっていたジャックとピンで朝ごはんを食べる。なんか今日はものすごくお腹が空いていたので、でっかいボカディージョと甘ったるいチョコドーナツを食べることにした。もうすぐ5月だというのに朝はまだ冷える。歩いて温まっていた体もすぐまた冷えてくる。あたたかいカフェ・コン・レチェが体中に染み渡る。でも隣では朝っぱらからビールを飲んでるおじさま方も。自由。

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でっかいボカディージョとあまーいドーナツ

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すでに空っぽのビールおじさん(朝)

 

ビクターはカナダ人。強面だけど実はすごいいいいやつで、カメラを向けるとポーズしてくれるようになったりおちゃらけた側面を見せてくれるようになった。

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おちゃらけなビクター

 

朝ごはんを食べていると、ナリが追いついてきた。ドーナツを食べているのを見て、食べたくなったのか、彼女はプレーンのドーナッツを買ってきてた。やっぱり疲れた体には甘いものなのである。

 

歩く目的を見つけるために歩いてる?

朝ごはんを食べ終わると今度はナリとなんで歩く。「何で歩いてるんだろうね」とナリは僕に問いかける。歩き出してもうすぐ2週間。毎日考えてるけど、よくわからない。自分のこれからを考えるために、と思って日本から来たのは間違いないのだけど、それがほんとかどうか自信がなくなる。よくわからなくなる。

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二人でゆっくり歩く

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遠くに見える一本の木

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遠くを走るライダー

 

ナリの何で歩くのかという問に「何でだろうねえ」と僕は返す。考え、出てきた答えが尽く、しっくりこない。美味しい料理とお酒、日々増えていく友達、素晴らしい風景、いろんな出会いがあるのだけど、でもそれは、そのために歩いているのではなくて、歩いている中で副次的に得ているものという感じ。

またナリが「わかんないねえ、こんなにしんどいのにね」と笑う。でも、僕も彼女も歩くのは辞めないし、みんな休憩しながら自分のペースで歩いてる。歩く目的や意味を見つけるために歩いてるような気になってくる。

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大自然に包まれる。

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途中またビクターと出会う、陽気。

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靴だけでなくこの日はワインも。

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前をあるくおじさんも楽しそうに杖を振り回している

 

ナリは僕が目指す町の一つ前の町で今日はストップするらしい。その町についてみると、数日前に出会ったジューゴがいた。男前でやわらかな表情、柔らかなしゃべり方。ジャックとは異なるイケメンである。大人の落ち着き色気のようなものを感じさせる。しかし男前が多い旅だなあとしみじみ思う。

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ジューゴ、久しぶり。

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ビクトリア、いい笑顔。

 

ナリはやはりこの町に泊まるらしい。もしかしたらもう会えないかもしれない。「無理しちゃダメだよ、自分のペースでね!」とハグをする。デイジーも追いつき、彼女もまたここにステイするらしい。また会えたらいいねと行って僕は次の街に行くために歩き出した。

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デイジーまたね!

 

自分ひとりだけの世界

そこからはまた一人で歩いてく。また一人で考える。しんどい坂道を登っていく。山道を登り切ると、そこには目の前に見渡すかぎりの風景が広がる。僕以外誰もいない。

視界を遮るものもない。あるのはずーっと先に見える地平線。世界はこんなにも広いみたい。こんなにも広いのに、空が近くてほんとに手を伸ばせば雲が触れそうな気がする。大げさではなくて本当にさわれそうな気がしてる。

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雲が触れてしまいそう。

 

そうした今まで感じたことのない気持ちを感じたら、今の自分を写真に撮ってみたくなった。カメラを地面に置いてタイマーをセットする。誰もいない大自然の中で、気分が少し高揚していたみたい。

そのときにふと、何で歩いているんだろうという答えに一番近そうなものが頭に浮かんだ。「知らない世界を知りたいだけなのかな」と。どうやら僕はそういうことらしい。なんと単純。

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一人でこの辺かなと写真に映る位置に移動する

 

気分よく自撮りなんかをしつつ、風景の写真を撮ったりしていると、そりゃ進むのも遅くなるわけで、なんと後ろから名前を呼ばれて振り返ってみると、ナリとデイジーがいる。「あれ??ナリもデイジーと20キロ地点の町で泊まってるはずだったのに?」

聞いてみると町のアルベルげがいっぱいで、結局僕が目指す次の街オンタナスまでいくことになったらしい。感動のお別れしたっていうのに。縁があるということなんだろうなあ、もう少し一緒に歩けるみたい。うれしい。

しっかしドロドロの道。でもなんか次の街まで歩いて行ったり草原散策したり、ほんとドラクエみたい。

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どろどろ。。。歩くところが見当たらない。

 

ヘトヘトになりながらまたも合流できた喜びで足が幾分か軽くなる。この坂を下れば目的の町オンタナス。街に入ると先に着いていたジャックが出迎えてくれた。今までで一番きれいなアルベルゲだ。町についたらもうあとはいつもどおり風呂入って洗濯して、ビールを飲んで散歩して夕食を待つ。

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泥で靴が1,5倍位の重さになってる笑

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のんびりジャック

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みんないい顔してる

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教会の中、静かで落ち着く空間

 

今日もワインはフリーだ。巡礼ってこんなにいいものだろうか。結局ハッピーチームはまた全員揃って夕食。ドイツ人のホゥフとひろくんに出会う日。ホゥフもそんなに英語が得意ではないということで意気投合?して、これからの工程の話なんかをした。

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相変わらず楽しげなデイビッド

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レストランのウエイター、ワンピース好きらしい

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ホゥフも陽気なおっさんだった

 

最後に珍しく夕日を見ることができた。この国の夕日は22時を過ぎる頃なので、門限や就寝の時間ということで、タイミングがなかなかあわず、あまりみることができていなかった。心が洗われるような景色をみながらこれから先のことを考える。

「明日も30キロいけるだろうかなあ?」どこかで稼いでおかないとフィニステーラにいくことができないからなあ。そんなことも考えるようになってきていた。もう歩き出して2週間かあ。

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美しい夕日に街並みのシルエットがうつる。

 

※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。

 

【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】

2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。

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