世界遺産検定2級の勉強ポイント①世界遺産条約と世界遺産登録条件

世界遺産検定の受験に向けて、勉強?しているいむりんですが、こんにちは。まあ検定と言っても、趣味の延長のような勉強ですからね、あんまり苦痛でもなく楽しくやってます。

さて、実際に2級を受かった人に過去の傾向を聞いてみましたら、まずは基礎を叩き込め、世界遺産の基礎知識と日本の世界遺産で4〜5割くらい占めているとアドバイスを貰いました。

ということで、今回は世界遺産の基礎をまとめました。世界遺産検定だけでなく、普通に知識として知っておくだけでも楽しいと思いますので、受験しない方もぜひご覧ください。

世界遺産と世界遺産条約

世界遺産は現在(2017年3月現在)世界に1052件以上登録されているようで、年々増えています。人類共通の財産として価値ある遺跡や自然建造物を「世界遺産」として保護し、国を越え後世に伝承していくための条約が「世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)」なわけです。

そして条約の中の世界遺産リストには「顕著な普遍的価値 Outstanding Universal Value」を持つものとしての文化財、自然環境が記載されています。このように、世界遺産条約は文化遺産と自然遺産を一つの条約の下で保護していることが大きな特徴で、これができるまでは別々に管理されてたんです。

ちなみに世界最初の世界遺産はアメリカのイエローストーン国立公園ということです。

ヌビアの遺跡群救済キャンペーン

国を越えという表現をしましたが、厳密に言うと少だけ語弊がありまして。世界遺産の保護、保全の義務や責任はまず、その保有国にあるということ。これは世界遺産がその特定の文化や文明、自然環境に属すること(だからこそ生まれたし、残った)を尊重する、そうしたことも踏まえて、人類全体で分かち合うためなんです。

世界遺産はそうした各国の配慮や世界遺産自体の存在を通して、過去のものでなく、今あるものとしての意味を考え、また未来を考えるための教育的観点も持っているのです。

その最も顕著な出来事として、「ヌビアの遺跡群救済キャンペーン」が挙げられる。エジプトのナイル川沿いのアブ・シンベル神殿からフィラエまのイシス神殿までのヌビア地方にある遺跡群の救済キャンペーンは世界中で募金活動が拡げられました。

当時の国家プロジェクトだったアスワンハイダム建設を進めるとなると神殿の遺跡がダムの底に沈んでしまうということで、ユネスコのこのキャンペーンは経済開発と遺産保護の両立という難題に取り組みました。このプロジェクトを皮切りに世界遺産は「人類共通の遺産」という理念が生まれることになり、今日までイタリアのヴェネツィア、インドネシアのボロブドゥールの仏教寺院群へのキャンペーンを行うことになりました。

ユネスコ

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)はパリに本部をおく、言わずと知れた国連の専門機関です。第二次世界大戦を教訓に二度と戦争は起こしてはならないと1945年11月にロンドンで生まれ、翌年には「国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)」が採択されました。

ユネスコ憲章の前文として「戦争は人の心の中に生まれるものだから、人の心の中にこそ、平和のとりでを築かなければならない」があります。これを世界遺産の観点から捉えると、人類共通の財産として世界各国の遺産を保全保護することを通して、各国の背景、事情の相互理解を行い、世界の平和や安全を目指そうという、世界遺産には世界平和を願う意思も込められてるんですね。

世界遺産登録の条件と登録基準

■登録の条件
世界遺産の成り立ちはこれまでのべてきたとおりですが、何でもかんでも認定されるわけではなく、まず最低限の条件が5つあります。

①遺産を保有する国が世界遺産条約の締結国であること
②遺産が予め各国の暫定リストに記載されていること
③遺産を保有する締結国からの推薦であること
④遺産が不動産であること
⑤遺産が保有国の法律などで保護されていること

これらを最低限クリアした上で、次の2つの観点も重要視されます。

■真正性
ヴェネツィア憲章で提唱されている対象となる世界遺産の文化的背景の独自性、伝統を継承しているか(修復なども当時の技術や素材等に配慮しているか)といった概念、いつまでも限りなく当時の状態を残そうとしているかが重要で、昔の建物を今の材料とかで直すのは良くないよということですね。

■完全性
世界遺産の保全計画や法体制、予算や人員といった世界遺産の価値を構成していくための要素が整っているかが見られます。登録してもそのまま放っておかれるのはよろしくないですからね。

■登録基準(世界遺産条約履行のための作業指針)
2005年第6回世界遺産委員会特別会合にて指針が改定され、文化遺産、自然遺産共通の登録基準にまとめられました。登録基準は以下です。

ⅰ〜ⅵにあてはまるものが文化遺産、ⅶ〜ⅹが自然遺産、両方にまたがるものが複合遺産と呼ばれます。

ⅰ:人類の創造的資質を示す遺産(人間の才能 姫路城、ヴェネツィアとその潟とか)
ⅱ:文化の価値観の交流(文化の交流 法隆寺 セーヌ河岸とか)
ⅲ:文明の存在に関する証拠(文明の証拠 奈良の文化財 ストーンヘンジとか)
ⅳ:建築様式・建築技術・科学技術(建築、科学技術の発展 厳島神社 ビキニ環礁とか)
ⅴ:伝統的集落、人類と環境の交流(独自の集落 白川郷とか)
ⅵ:出来事や伝統宗教・芸術と関係(人間の文化と結びつく 原爆ドームとか)

ⅶ:自然美や自然現象(屋久島・カナイマ国立公園とか)
ⅷ:地球の歴史の主要段階(ヨセミテ国立公園、サンジョルジオ山とか)
ⅸ:動植物の進化と発展の過程(白神山地 アルダブラ環礁とか)
ⅹ:生物多様性(知床 四川省ジャイアントパンダ保護地区とか)

世界遺産は、良い側面のものばかりではなく、人類の失敗といえるような、いわば未来への教訓にしようという「負の遺産」と呼ばれるものがあります。広島の原爆ドームなどがそれです。

ということで世界遺産の基礎知識①でした。検定を受験される方はこのあたりは抑えておかないとダメですよ!公式のテキストはこちら!

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