■本日の工程
2016年4月21日 巡礼10日目
サント・ドミンゴ・デ・ラカルサーダ(10:30) → ベロラド(12:30):23km
今日でスペイン巡礼10日目。今日の向かい風はとっても強くて、心が折れそう。昨日がんばった分の疲れが残っている。足を前に出そうとするのだけど、風が強くて思うように進まない。そんな朝。ただ、この国の朝日は本当にきれい。
上を向いて歩こう
デイビッド、ジャック、デイジーと離れて2日。結局昨日は彼らのいる街にはたどり着くことはできなかった。でも、それも悪くないと思う自分もいる。そもそも僕はこの巡礼にこれからの自分を考えるためにきたのだから。だからちょうどいいじゃないかと。
とは言え、今日彼らはどの街までいくのだろうか、今はその計画すらわからない。やっぱり気になる。(Wifiがないとこういうとき不便なんだよね、でもなんか携帯が普及する前の時代みたいでいいとも思う。すこしだけ日常がドラマチックになる)
ニューなんとかは、国とか関係なく必ずこうなる運命なのだろうか
昨日降った雨が大きな水たまりを作っていた。(水たまりと言っても水深15〜20cmくらいはあるちょっとした池である)その水たまりを避けるように迂回して、草むらを行こうとした時、ソレは起こった!
ばしゃーーん!
草むらだと思っていたところが実は大きな水たまりでが、草だと思って思いっきり踏みしめたので、そのままくるぶしまで足を突っ込んでしまった。
疲れている時に、一人の時に、、、笑いにもできないよ。こんな時「あちゃーやっちまったあ!」とかふざけたりできる仲間がいたら貴重だなあと心底思った。一人がどうとか講釈たれてたけども、やっぱり仲間はいた方がいいんじゃないか?ええ自分よ?
ま、水たまりに足を突っ込んだだけなんだけど、思いのほか絶望的な気分(軽く泣きそうな)にしてくれた。この旅において、足は命だからね。(でもトレッキングシューズってすごい、あんなにずぼっと突っ込んだのに、水を吸ってはいるけど中までは水がきてない、コロンビアさんありがとう。)
車道の脇の泥道を歩く。少し落ち込みながら下を向いて歩いてたら、「ププッ」前からくる車にクラクションを鳴らされた。「はっ」として上を向く。クラクションを鳴らされたのは、ぶつかりそうだとかいう危なさからではない。(車道からはそこそこ離れていて危ないことは一つもない。)
なるほど「そんな顔して歩いてちゃダメだよっ」ってそういう意味で鳴らしてくれたんだと気づいた。優しさ。こちらの人は怖い顔面してても「オラ」ってゆうと「オラっ」てかえしてくれるし、重い荷物背負って貝殻ぶら下げて歩いてたらにこっと「ブエン、カミーノ」っ言ってきてくれるし。とにかく優しいスペイン人。
サンティアゴまであと576kmの看板。200kmほど巡礼路を歩いたのか。
このあとも何人かにクラクションを鳴らしてもらった。手を振ると振り返してくれる。陽気な人が多くて多くて、いつもそういう気持ちでいられるスペイン人って最高だなあとか思って気分が軽くなったからか、いつの間にか水を吸ったブーツの重みを感じなくなっていた。頭の中では「上を向いて歩こう」が流れている。
手洗い洗濯を韓国人お母さんに甘えてみた昼下がり
目的の街ベロラドに入った。今日はかなり早く街についた。まだ12時30分、大きな教会だなあと眺めていると、よく見るとコウノトリの巣。青空に教会、屋根には大きな大きな鳥の巣。信じられないような、なんとも言えない気分。まだ早かったのでしばらく眺めていた。「のどか。」
目的のアルベルゲを探し当てると、何人かがすでに13時のオープンを待っている。昨日一緒になった韓国人グループだった。一度話すると、もう半分仲間のようなもの。僕はバッグをおいて少しあたりを散策する。
13時になると同時に扉が開き、ホスピタレイラが迎えてくれる。送れてピンとナリがやってきた。受付を済ませてベッドに向かう。シャワーの順番を待つ間、洗濯をすることにした。時間は有効に使わないといけない(一刻もはやくビールを飲みたいので)今日はなんて洗濯日和!
洗濯機の料金はどこのアルベルゲもだいたい同じ。洗濯3〜4ユーロ、乾燥も同じくらい。洗濯して乾燥までをお願いすると、洗剤は別売りなので1000円弱もかかってしまう。みんな一緒だとシェアして使うんだけど、今日は一人。そんな金は無いので(ビールの金はあるが)洗濯は手洗いで行う。
美人ホスピタレイラ、丁寧な対応なのでいつもの3倍位、受付に時間かかる笑(時間はいくらでもあるから良いのだけど)
手洗い洗濯においてあった石鹸を使うけどなかなかうまく泡立たない。洗濯物を洗うのって結構大変。ゴシゴシやってると、同じく隣で洗濯していた韓国人お母さんが洗剤を入れた自分のバケツを指差して、「ここで一緒に洗濯する?」ってゆってくれたりして、優しさに甘えることに。
洗濯物を全部洗い終えると(洗ってもらうと)後は干してシャワーを浴びるだけ。(早めにアルベルゲにつくと洗濯物もいい位置に干せちゃう!)既に濡れたブーツは日当たりのいい場所を確保して日向ぼっこしている。「早く乾け〜」シャワーを浴びたら、あとは、「今日の残り」をゆっくり過ごすのみ。
シャワーを浴びて、ほかほかの体に、アルベルゲに併設されてた自販機でビールを買う。「ゴカン!」ダイナミックに落ちてくる。「ブシュァァ」開けると泡が溢れてくる。でもそうなるだろうことは予想してるので、すぐに飲み口に口を近づける。でも思いのほか、溢れてくる。今日は泡のスピードの方が早くて結局こぼしてしまった。君の勝ち。
地元のバルで大騒ぎ
WiFiがつながった。どうやら、3人組は隣の町にいるみたい。(FBのメッセージでやり取りする)自分ももう少し頑張ればよかったかなと思ったりもした。
でも行ったら行ったでこうして日記も書けないし、そもそも連絡取れてたかどうかも怪しい。違う人とコミュニケーションをとることもないので、今日はこれでよしとしよう。今度こそ明日には会えるだろうし。
歩き終え、シャワーと洗濯が終わった昼過ぎは無敵!散歩も気楽〜
昨日に続いて自炊しようかと思って3人で話してたのだけど、ピンが調子が悪いらしくご飯がいらないということで、ナリとどうしよっかと話していると、韓国人のタイケンと日本人のヨーコさんと宿で出会った。
ヨーコさんは英語も韓国語も話せるよう。昨日も一緒だったり、それまでも何度か見かけていたのだけど、ちゃんと話すのは初めて。ナリと4人でバルにご飯を食べに行くことになった。
ここにくる人はほとんどみんなバイリンガル以上で、それすら普通になってきたので、もう驚かなくなった。ほとんど日本語オンリーな僕のほうがここでは珍しい。すごい僕!1件目はとりあえず近場にあったバルで軽めにビールをいただく。
少し肌寒くて、ナリが飲めなくなったビールももらえた。らっきー。
2件目はかなりローカルなお店にヨーコさんに連れて行ってもらった。(既にリサーチしていたらしい。すごい!)中にはほんとに地元のおじさんしかいなくて、難しい顔でカードゲームをやっている。
とりあえずワインとピンチョスを注文。可愛らしいピンチョスでみんなとシェアしながら食べる。そんなに頼まなかったのは、アルベルゲに帰ってからまた飲むから!(実は1件目に行く前に、すでに一本ワインを買っていたので)
ワインも2杯目に突入する頃には、僕たちはカードゲームを終えたおじさんたちと盛り上がってた。たぶん「おれは何歳で、あのオヤジはもっと上で100歳だ!」とかなんか言っていたような気がする。僕は日本語、おっさんはスペイン語。
自分よりも倍生きてる何言ってるのかわかんないスペイン人と意気投合して、肩を叩き合う。スペイン語も日本語もわかるナリが「え〜なんで日本語とスペイン語で会話成立してるの〜?」と不思議がる。「ほんと、なんだろう。わからんけどもわかってるような」自分でもよくわからん。しかし現地の熱を感じられるよいバルだった。
スペインは20時ごろでもこの明るさ、暗くならないと飲み終わるという気がおきないもの、困る。
バルでは軽くしか食べていなかったので、アルベルゲに戻り洗濯物を取り込んだら、飲み直すことにする。ヨーコさんはチョリソーとマッシュルームの炒めものを、僕はひよこ豆とサルシッチャのトマト煮を作る。
こちらのマッシュルームは巨大でぷりっぷり。しかも味もフレッシュで美味しいようで、人気なのだとか。ぼくはきのこ嫌いでどうにもこうにもだったんですが、ものは試しにということで、一口いただいてみる。なんと!!チョリソーの味できのこの味はほとんどせず食感だけがぷりりんな感じ。
きのこ嫌いでもいけるんだからきっとキノコ好きにはたまらんのだろうなあ。これ。
またしても買っていたワインをあけてしまって、最終的にはアルベルゲのメンバー入り乱れてのパーティへ。
自分の気持ちを整理して、いらないものは捨てていこうと思っていた旅なのに、1日1日、新しい経験を積み、どんどん仲間が増えていく。思ってもみなかった最高な巡礼の旅になっている。
※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。
【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。