白浜に行くと決まったとき、宿のことばかり考えていて、実はホテル川久のことはそこまで意識していませんでした。一応和歌山県民なので、小さい頃から存在は知ってましたが、もちろん泊まったことはなくて、「なんかすごいホテルがあるらしい」くらいの認識でした。
でも行ってみたら、想像の斜め上でした。
つばき荘のチェックインまで時間があったので、白浜駅前でラーメンを食べてから、そのままぶらっと向かってみたのですが、これが大正解。1,000円でこんな世界が見られるのかという驚きと、「これは一体何なんだ」という困惑と、ちょっとした感動が入り混じった、不思議な体験でした。
まずは腹ごしらえ|白浜駅前・笑福で和歌山ラーメン
ホテル川久の話をする前に、まずはランチ、腹ごしらえは大切。せっかくの和歌山なのでラーメンを食べようかということになりまして、白浜駅前にある「白浜 笑福」という和歌山ラーメンのお店に入りました。

和歌山ラーメンといえば豚骨醤油がベースなんですが、笑福のスープはわりとあっさりめで、ほんのり甘みがあるのが特徴。豚骨ラーメンって脂っこくて重たいイメージを持つ方もいると思うんですが、ここのはそういう感じじゃなく、するすると食べられる。「和歌山ラーメン初めてです」という方にもいいんじゃないですかね。

そしてここで頼んだチャーハンが、なかなかの謎体験でした。しっとり系でチャーシューもそこそこ入っていて、量も結構多い。普通サイズ頼んだけど、なかなかのボリューム、半チャーハンでいいかもしれない。ラーメン大盛り頼んだのと遠近感で少し小さく見えるけども、結構普通に多いです。

そして食べてみてびっくり。いわゆる町中華の味ではなく、ほんのり甘い?なんか食べたことのある味のような。。。コーンスープ風味?とでも表現すればいいんでしょうか、食べたことのない味なんですよ。この「謎味チャーハン」の正体……ほんま気になりますね。和歌山ラーメン特有の醤油の甘みと、炒めたラードの香ばしさが重なって、脳がバグを起こした結果の「コーンスープ感」だったのかもしれません。誰か形容の仕方教えてほしい。
白浜駅から歩いて1時間
お腹も満たされたところで、いよいよホテル川久へ。
「ホテル川久へのアクセスはバスで」というのが一般的だと思います。実際、いくつかの経路でバスは出ています。でも僕は歩きました。ちょうど1時間くらいでした。ラーメン(しかも大盛り)とチャーハン食べたし、夜ご飯はお宿で楽しい夜ご飯が待ってるので、お腹を減らさないといけませんから。
和歌山の人というか地方の人は歩くの嫌いですからね、この後宿の女将さんに1時間歩いたと言ったら信じられへんわと驚かれました笑

白浜駅から30分ほど歩くと海沿いを歩けるので、景色が開けていて気持ちいいんですよね。天気もよかったので、コンビニでコーヒーを買って歩いて行く。それはそれで良い時間でした。GWの気持ちいい風を浴びながら1時間歩いて、そして突然あれが現れる。

歩いていくと、その「突然感」がより際立つんです。曲がり角を曲がると突然「え、あれ何?」となります。そういう感覚を最大限に味わいたいなら(あとお腹減らしたいなら)、徒歩もおすすめです。体力と相談しながら判断してください、道も同じだと飽きるので、帰りはさすがにバスでもいいかもしれないです。
外観を見て「え、浮いてる」ってなった
白浜の街並みを歩いていると、遠くからでもわかります。「あれだ」と。
なんというか、浮いてるんですよ。
白浜の景色の中に突然、ムーア建築とビザンチン様式を合わせたような、異国情緒あふれる巨大な建物がどんと構えている。観光地の海沿いに建つホテルは数あれど、こんなに景観から浮いているホテルはなかなかない。悪口ではありません。それくらいの存在感がある、ということです。

ホテル川久が建てられたのは1991年。バブル経済の絶頂期です。総工費は400億円。今の物価や建築コストで換算すれば、もっとかかるでしょうし、そもそも「今の時代にこれを作ろう」という発想自体が生まれない。まさにバブルにしか作れなかった建物です。
全室スイートルーム、というのもまたバブルらしい。お部屋のグレードに「スタンダード」という概念がない。全部スイート。どういうことなんだ。
1,000円で入れる内部見学レポート
入館料は1,000円。この建物を1,000円で見られるのは、お得だと思います。
受付を済ませて中に入った瞬間、空気が変わります。多分日本でこんなの見れるのここしかないと思う。

天井の金箔、見上げた瞬間に声が出る
まず目に飛び込んでくるのが、天井の金箔。
見上げると、そこには金箔で施された豪奢な装飾が広がっています。「きらびやか」という言葉がこれほど似合う天井もそうない。フランスの職人が一枚一枚手作業で貼り付けたもので、約5cm四方の金箔が5万枚も使用されています。
「趣味か趣味じゃないか」でいえば、正直趣味じゃないけども、でも、やっぱりすごいんですよ。「すごい」という語彙しか出てこない。小さな四角がたくさんあるのが見てわかる。努力の結晶。フランスからこれは貼りにきたのか。すごいな和歌山。

人工大理石(シュトックマルク)の柱と床のモザイクタイル
ホールを支える24本の柱は、ドイツの伝統技法を用いた人工大理石(シュトックマルク)でできており、1本1億円とも言われるほどの手間と技術が注がれているらしい。意味が分かりません。こんなもの滅多に日本では見られません。冷たくて重厚な質感が、金箔の天井と合わさって「これは普通の空間じゃない」というメッセージを全力で発してきます。

床はモザイクタイル。こちらはイタリアの職人が手掛けたとのこと、天井の金箔もいいけども、緻密で美しい床の装飾も見逃せないですね。全体として「素材に一切妥協していない」という意思が伝わってくる。金箔よりもこの床の方がカッコよかったですね。バブリーな感じは性に合わないのですかね。

2階のコレクション|ダリとバブルの、奇妙な共鳴
個人的に一番面白かったのが、2階のアートコレクションでした。
壁にはさまざまな作品が飾られているのですが、目を引いたのがサルバドール・ダリの作品の多さ。シュルレアリスムの絵が何点も飾られていて、「なぜここに?」という気持ちになりつつ、でも見ていると妙な説得力があるんですよ。

シュルレアリスム、つまり「現実を超えた、夢か幻か」という感覚を追求した芸術。そしてバブル期に400億円をかけて建てられた、現実離れしたホテル。
この建物自体が、ある意味シュルレアリスムだと気づいたとき、なんとも言えない気持ちになりました。皮肉なのか、必然なのか。当時ここを設計した人たちは、ダリの絵を飾ることに何か意図を持っていたのか、それとも単なる偶然なのか。

「趣味じゃないけどすごい」と思っていた建物が、このコレクションを見た瞬間に急に立体的に見えてきた、そんな体験でした。
しかし400億円という数字は伊達じゃない、と実感する空間でした。
見学を終えて|バブルの遺産を前にして思うこと
1時間弱の見学を終えて裏口に出ると、白浜の青い空と海が広がっていました。
川久を見て思ったのは、「今では誰も作らないし、作れない」という事実の重さです。バブルという時代がなければ存在しなかった建物。当時の熱狂と、それが弾けた後の現実と、それでもこうして今も建ち続けているという事実。建物が時代の証人になっている、という言い方が一番しっくりきます。諸行無常感。

「泊まりたいか?」と聞かれると、僕は見学で十分だと思いました、正直なところ。でも全室スイートルームで、しかも料理が大人気と聞くと、自腹で泊まるかどうかはまた別の話として、誰かのお金で泊まらせてくれるなら是非行きます。名前が「王様のビュッフェ」の通り、高級料理のお祭りらしいので。それもまたバブルっぽいですよね笑
とまあ、いろいろ言いましたが1,000円で見学できるというのは本当にお得です。白浜観光のついでに、チェックイン前の時間つぶしに、ぜひ立ち寄ってみてください。きっと「来てよかった」と思えるはずです。

アクセス・見学情報まとめ
- 住所:和歌山県西牟婁郡白浜町1492-1
- 見学料金:1,000円
- 白浜駅からバスで約15-20分
- 徒歩の場合は約1時間(景色は良い、体力と要相談)
- 白浜駅のロータリー目の前
- 和歌山ラーメン(豚骨醤油・ほんのりあっさり甘口)
- チャーハンは謎においしい、ぜひ頼んでみて
今回の白浜旅、椿温泉・つばき荘の宿泊記もあわせてどうぞ👇




コメント