■本日の工程
2016年4月30日 巡礼20日目
レオン(11:00)→ヴィラデマサリフェ(16:45) 約25km(道外れたため地図で換算)
喉がガラガラ。昨日騒ぎすぎた。うすうすわかってたけど、こんなにもなるとは。風邪薬、のど飴買っておいてほんとよかった。
珍しくゆっくりとした朝の一コマ
昨日レオンに着いた段階では、せっかくだし休息と観光をかねて連泊しようかとも考えたけども、昨日の夜が本当に楽しすぎたので、この楽しい思い出のまま次の町に行こうと思う。(昨日の夜を超えることはまずないだろうし)足首や膝も痛いけどまあ歩けるレベル。昨日跳んだり跳ねたりしなきゃもうちょっとよくなってたんやろうけどもなあ、あと怒られずに済んだろうしw
前の夜に、りんちゃんとキーマスターと朝ごはん一緒に食べようということになっていた。そこにソニョンも朝ごはん食べることになった。ただ女子二人の準備が遅いということで、キーマスターは先に行ってしまった。遅いと言っても待ち合わせの時間はまだきてないんだけれども。キーマスターはせっかちだからということだけど、せっかちはもはや関係ない。take your time。彼の時間が流れているということなだけ。
時間になってみんな集まったところで、お目当の店へ。が、今日は休日。空いてなくて、何件かアタックしてみるんだけど、なかなか開いていない。。。むむむ、これは朝飯抜きコースか、と思ったときに掃除しているおじさんを捕まえて相手そうなお店を聞く。やはり開いていないということだったんだけども、ホテルならあいてるのでは?ということで、ようやくホテルに入って朝食にありつけた。
大好きなパンオレザンに加えて、日頃食べないけどフレンチトーストがおいしそうだったので、カフェコンレチェと。こちらのパンは大きいので、ちょっと多いかなあと思ったけどペロリと食べてしまった。フレンチトーストはシナモンがタップリでめちゃうまかった。もはやパンかどうかわかんないくらいに中まで染み込んでいて、、、あれは、、、本当に美味しかった。も一回食いたい。
ミサで知らない人とハグ、そしてりんちゃんとお別れ。
9時からカテドラルでミサが始まるということで、参加した。神父は当然スペイン語で話すので、何言ってんだかはわかんなかったけど、日曜の朝からミサに参加する地元の人の敬虔な姿を見て、もし自分の人生の中に神様がいたら、どんな生活になるんだろうかなとか想像したりした。
隣の人と手をつなぎ、握手、ハグをしましょうということで、見ず知らずの人達と肌に触れ合いコミュニケーションを交わす。なんとも温かな気持ちになった。その後午前中は引き続き、聖堂の中を見学したりしてすごした。
レオンのカテドラル⑧像「静かに見て回ってね!」 僕「はーい!」
荘厳で迫力がありかつ、緻密に作られた彫刻に、ただただシャッターを切り、あっという間に時間が流れた。すごく天井が高く、パイプオルガンや、ステンドグラスも立派で、とても見応えのあるカテドラルだった。
いつもよりも随分ゆっくりな出発になった。でも念願のミサにも出れたし、美しい内装も堪能した、どうせなら少しでも歩いて距離を詰めておこうと思う。10kmでも進んでおけば楽できる。
さて、この街で2日間行動をともにしたりんちゃんともお別れ。彼女は今日、パラドール(歴史的な建造物の古城や宮殿、修道院といった文化財を改築した国営ホテル)であと一泊この街に留まるらしい。うらやましいし、少し寂しいけれどけど、もう決めたから僕は次の町を目指す。
また2日ぶりに一人行動。誰かと一緒にいると安心感もあり楽しいけど、一人でいるとまた新たな発見や、出会いがある。出会いと別れの繰り返し。まさに人生の縮図。次はどんな人に会うんだろう・・・りんちゃんとはまた日本に帰ったら会おうという約束をして、別れた。
スペインの陽気なオヤジ!イシドゥロと出会うの巻
誰かと歩くのと一人で歩くのは随分雰囲気が違う。一人で歩くと、周りの景色をより鮮明に見れるし、自分との対話がすすむ。一方誰かと歩いていると、その人がどんな人で、どんな事を目指して歩いているのか話が聞けるから、すごく刺激になる。どっちも大事。だから、そのペースは無理に変えずにあるがままに進んで、その時の状況を楽しもうと思う。
りんちゃんと別れて1時間くらい一人で歩いただろうか。後ろから歩いてきた陽気なオヤジに声をかけられた。一人になった瞬間にまた出会いを釣ってしまったwかかるの早いな。
彼は現在、マドリッドに住んでいて、名前はイシドゥロというらしい。(彼の名前はスペインの守護聖人イシドゥロからきているのだと説明してくれた)のよく喋るし、よく話を聞いてくれる。ワインが安くてうまくてスペイン大好きで、毎日飲み倒してるという話をしたら、「俺の知ってる日本人と違う!」とびっくりしていた。彼は英語もできるし、めちゃくちゃ上手ということではないから、逆に聞き取りやすくてありがたい。
というようなやり取りをしながら、一緒に歩いていたら、なんと!全然矢印が見当たらん!!!どこでどう間違ったか正規のルートから外れてしまったみたい。でもそれでも、なんとかなるし何故か間違ってないという自信があって(二人で歩いていたからか?)きっと合ってる!とずいずい進んだら街が見えてきた。バス停に座っていたおじさんたちに話を聞く。
すると、「この道は確かに巡礼路なのだけど、ただ今はあまり使われていない旧巡礼路だ」ということだった。レオンから来る道の中で、ややこしいところはあったのだけど、そこで2つに別れていたみたい。ま、どうせ目指す場所は変わらないのだからどの道から行っても別に差し支えはない。少し遠回りになるだけだし、残念ながらここの景色は最高だw
どこでも誰にでも話しかけるイシドゥロ(これがスペインのスタンダード?)
しかーし、だーいぶ南に歩いて来ているっぽい。太陽と自分の延長線上にある影を確認する。ほんとここどこだよめちゃくちゃ景色きれいだよ。ただ美南じゃなくて、西に行かないといけないんだけどねえ。
人は本当に少ない。なんか自分たちの道という感じがして気持ちいい
ただ1つの問題はイシドゥロが奥さんと途中で会わないといけないとかなんだけど、えらいとこに来てしまったのでどうしようという問題くらい。(彼は歩いて、奥さんは車で同じ街を目指していて合流することになっているみたい。)
まあでも逆に言えば、その分、彼とよく話ができた。イシドゥロはとても優しくて、「カミーノは僕の休日だと言って歩いてる。彼の夢はスペイン人たちがより良い仕事につけるようにすることだと言っていた。(多分そんな感じ)英語力のない僕に、彼が一つの単語を説明するのに何度も違う言い方で説明してくれる。そして僕の悩みにも優しく応えてくれる。彼は言う。
「人はみんな変わる、自分も他人も。」
「仕事を辞めた時、結婚した時にぼくは変わった。そこからもまた自分は変わっているし、周りの人たちもやはり変わっている。」
「すべてのものは変わる。ぼくは変わったし、これからも変わるだろう。」
そんなことを言っていた。なんだ、陽気なだけじゃないんだ。いいこというじゃない。そして、そんないいことを僕は聞いてこんなことを思った。
「この道は巡礼路。なら、きっと今南に進んでる道も、いずれちゃんとサンティアゴに向かうために西に向かうようになる、ゆっくりとなだらかに。だから自分自身も今どこを歩いているのかわからないかもしれないけど、きっと最終のゴール地点である死に向かって、ゆっくりとなだらかに気付かないレベルだけどいい風に変わっていっているのかも知れない、それは寿命だけではなく、生きるうえでの姿勢や、価値観、生き方と言われるもの。そうでありたいなあ。」と。
ひたすら平地、こんなにも360度開けているところ歩いたことは初めて
カミーノ旧道のゆっくりとした空気感
今日は晴天。木々や草原の緑と雲のない真っ青な空の青のたった二色だけの世界を抜けた途中の街で、セルベッサとトルティージャをご馳走になった。腹が減った時の飯はほんと格別。しかしこんなにふっくらできるのはなんでだろうか。イシドゥロ曰くとても簡単で、卵とポテトと少しのオニオンだけということだけども。。。ほんとなのかこのおっさん。
ビールはどこに言ってもうまい。トルティージャもうまい。どこでくってもふっくら。
道を聞くイシドゥロとものすごいテンションで教えてくれるおじさんと、カメラ目線を外さないおじさん
旧道に進んだおかげで歩いている人は少なく、見る顔ぶれも初めての人ばかり。何かとても新鮮な感じ、歩き始めたときのことを思い出す。街の人の雰囲気も心なしか違う気がする。
今日は道に迷ったせいで、かなり遅い時間にチェックイン。もう17時だ。それでも奥さんに会うためにイシドゥロはとある町までまた歩いて行った。去り際に彼から「8時にこの街に帰ってくるから一緒に飯を食おう」ということを言われたので、「もちろんオーケーだ」と答えて、彼と別れた。
本日のアルベルゲ Albuergue San Antonio de Padua
洗濯をしてバルで一杯だけビールを飲んで、日向ぼっこして彼を待つ。いつもよりは、アルベルゲに入ったのは遅かったのだけど、何かいつも以上にのんびりできている。一杯飲んで街を少し散策してアルベルゲに戻る。2時間前に干した洗濯物がもう乾いてる。スペインの太陽は強烈だ。ただ、5月だというのに朝は3度、昼間も日陰に入ると肌寒い。寒暖の差が激しいので、、風邪中だし。
イシドゥロ夫妻とスペイン郷土料理を囲む
おや、8時を過ぎても彼はこない。まあほんと遠いし帰ってこれるのかという不安はあったから想定内。連絡手段もないしね、仕方のないこと、ケータイが流通していなかった時代はよくあったんだろうね。
「スペイン時間は日本とは違うしあと30分くらいは待ってみて、戻ってこなかったら夕方飲みに行ったバルにでもつまみに行こうかな」なんて思っていると、イシドゥロが謝りながらやってきた。実は7時半頃に来ていたらしかったんだけど、そのとき僕がいなかったからバルで待ってたらしい。
喜び過ぎのイシドゥロ、よくそんな顔できるな!表情筋激しく動いて写真ぶれたw
僕より更に早く来ていたとは、、、スペイン時間とか言ってしまって、ごめんなさい。バルではすでに、軽く飲み始めていて、以前会ったスティーブンがいた。どうやらイシドゥロの友達だったみたい。ほんとにいろんな人の縁が縁をつないでいく。誰かは誰かの友達、カミーノの面白さはこんなとこにもあるのかもしれない。
スティーブンにイシドゥロに彼の奥さん、そして偶然前を通りかかった巡礼者仲間のオランダお母さんのモルガンも加わって、僕を含めて5人で飲む。多国籍な会でとても楽しい。
イシドゥロの奥さん、とてもいい人だった。彼女はスペイン語しか話せないので、イシドゥロやスティーブンが英語で通訳
男前スティーブンと眼鏡が素敵なモルガン、モルガンは英語のみ。
そうこうしてワインを飲んでいると、イシドゥロが頼んでくれた料理がやってくる。まずは生ハム、数種類の生ハムが入っていて、パンにもワインにもどちらにもあう。「モエビエン(美味しい)とうやつです。」ちなみに美味かった生ハムはセシィーナ、しっかり聞いておいた。
生ハムとケソ(チーズ)。一番うまそうなのがハムがセシィーナ(どれだよ)
次に豚頰肉の食べたことのない味付けで煮込んだもの(笑)がやってきた。これは最高にワインがすすむ、味付けは今回スペインで食べ歩いてるけど一番かも。柔らかかった〜どうやらカリーゲタという食べ物らしい。とにかくワインと合うように煮込まれてる。
たらふくと食べて最後はみんなで記念撮影。明日はみんなアストルガに向かうみたい、また旧道と新道が一つになってしまう。この道すごく静かで優しくて、とっても好きな感じだったからもう少し外れてたかったんだけど、なかなかそうはいかないみたい。
はあ、今日はなんかゆっくり寝れそうな気分。みんなそれぞれの宿に戻っていった、また明日は一人旅に戻る。一期一会をこんなにも素直に受け入れられる旅は他にないんじゃないかと、そんな風に思う。日が落ち、少し暗くなってきた道を歩きながら僕もアルベルゲに戻る。
※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。
【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。