■本日の工程
2016年5月7日 巡礼27日目
サリア(7:15)→べンタスデナロン(16:45) 約34km
今日の夢は覚えていない。見たことは見たんだけども思い出せない。でもなんか変な夢だったような。。。今日は6時前に目が覚めた。昨日頑張ったせいか身体中が痛い、、、と言っても固まった関節は歩き出すと、少しずつましになることもわかってきているので構わず準備。今日も歩くだけ!
残り100km。ゴールに着く喜びよりも、着いてしまうという焦り。
パラパラと小雨の降る中、昨日買ったパンをかじりながら歩く。今日は少し早めの7時過ぎの出発。大きな街を抜けて鉄道沿いを歩くと、またも林道、でも昨日ほどじゃあない。 少し歩くと晴れ間が見えてきて雨がやんだ、今日はこんな感じのどっちつかずの天気なのかな。ガリシア地方は雨が降ったりやんだりするそんなややこしい気候らしい。
ガリシアに入り雨も多いせいかシダ植物や苔がよく見られるようになった
なかなか休憩できる街がなくて、3時間近く歩く。2時間くらいで休憩予定のつもりで歩いていたので気持ち的に疲れてしまったなあと思っていたときに、ようやくバルを発見。けっこう混雑してる。みんなもそのつもりだったのか、僕が入った後にもどんどんお客さんが入ってくる。大繁盛店だ。いっそお昼ご飯も済ましてしまおうとベーコンと卵のボカディージョを頼む。おきまりのオレンジジュースと。
みんな待ってました!言わんばかりにバルに入ってくる、大盛況!
ただ、ボカディージョが思いの外大きくて、ビールの助けを借りることに。ま、飲みたかっただけだともいえるんだけど。朝の10時に一仕事していっぱい飲む。朝でも昼でも夜でも疲れた体にビールはしみる。ああ、美味い。
キッチンが少しだけ見える。食べながら覗いてると賑やかにお母さん方が注文された料理?を、こなしている。あーとか言いながらバゲットを地面に落として、今はそのパンを使って調理してる。地面に落としたって関係ないのだ。3秒ルールは各国共通。
残り110kmという印、今日中には100kmを切ってしまう。少しずつ考え方も変わってきている気もするけど、どう変わったか具体的にはわからない、まだ十分じゃないということだろう。終わった時にこのままだったら、、、と焦る気持ちが芽生えてくる。
牛と羊の大波に飲まされそうになる
ボカディージョをなんとかやっつけたけど、戦闘に予想外に時間を取られてしまった。しっかしさらに人が増している。100キロから始める人は多そうだ。カミーノを始めた頃の感じとは雰囲気が全く変わっている。
始めの頃は一人の人が多かったけれど、グループ(ツアーかな?)で来ている人たちが本当に多い。どことなくあいさつをしてもかえってこない人が増えてきたように感じる。この日は同じナップサックのようなオレンジのリュックの軽装備の韓国人が特に目立つ。ツアー客だろうか。やっぱり韓国では流行ってるみたいで道端のお土産店にも韓国語だけの表記も見られるようになった。
また少し歩いていくと、今度はツアー団体客ではなく、羊と牛の大行列に遭遇。遠目から見ていたことは多かったけど、こんなにたくさんの牛や羊を間近で見るのは初めて。
僕の横をどんどんすり抜けていく。すっごい迫力。「みんな自分の仕事を全うしてるんだなあ」なんて思いながらその迫力をなんとか残しておきたいと、その場にしゃがみこんで夢中にシャッターを切った。
ああ、晴れなのに雨が降ってる。気まぐれな天気。ポルトマリンという街の手前で物凄い石階段を下る。今日みたいな雨の日なんかつるっと滑ってしまいそうで大変。注意深く降りないと大惨事になってしまいそう。
一人ずつしか降りられない幅なのでタイミングが悪いと下るのにも順番待ちで時間がかかりそうだなあと思う。まあそこはでも、やっぱり助け合いの道なので嫌な顔をされることもないだろうから安心、それがカミーノなのです、とか頭の中で誰かに紹介したりしてみる(何やってんだ)。
もっと歩かないといけない症候群にかかる
ポルトマリンというだけあって、水辺にあり、街には長い橋を渡っていかないといけない。昼ご飯はバカでかいボカディージョで終わったはずだったけど、足が限界、トイレと休憩したくてバルへ。今までは立ちションでもよかったけどこうも人が多いとねえ。
入る前はコーラくらいにしとこうかと思ってたのに口が勝手に「セルベッサ(ビール)」とかいってしまうもんだから、オヤジがビールを出してくるじゃないか。一緒に頼んだマカロニがまたうまい。ビールもコーラと金額同じなんだからまあいいか。
スタンプを押してもらい、水を入れてもらって颯爽と道を進むも、トレッキングポールを忘れていたらしく店のおばさんが追いかけてきた、すいません。
ポルトマリンを抜けると人が急に少なくなった。サリアからスタートした人はポルトマリンで1日目を終えたみたい。この自分だけの足音だけで歩けるのは気持ちいい。山頂から見る景色は初めてではないけど、やっぱり、素晴らしい。こちらに来てから約4週間。すっかり、この景色に慣れてしまったけれども、ゼータクな話だ。
明日はメリデという街で美味しいプルポ(タコ)を食べたいと思い、今日は山間の村まで頑張ろうと思う。ここ最近は1日の距離が20km程度で終わってしまうと甘えているんじゃないかと自分で思ってしまうようになってしまっている。
今は写真撮りながら、だいたい1時間で4kmのペースで歩いてるので、20kmだと5時間。途中休憩してだいたいいつも1時くらいには、20kmを歩いている。それで終わっても後は呑んだくれるだけだし、もう少しだけ行こうと考える。時間は十分にあってそんなに焦る必要もないんだけども。。。何にそんなに厳しくなってるのか自分でもわからない。不思議。
歩いていると少しずつハイな状態になってきて重さを感じなくなってくる。重さは感じるのだけど気にならなくなるというか、麻痺してるというか。とにかくスピードが落ちずに歩ける。
ゴールしたいような、したくないような、ラスト100kmを切った苦悩
今日の宿は山間の小さな村。時間的なものと天候からこの街に決めた。アルベルゲに入った瞬間にスコール的な豪雨。アルベルゲの目の前の囲いの中で寄り添った羊がめえめえ鳴いている。この雨だもの。鳴くというより泣いているような気さえしてくる。
まだ晴れ間が見えてたのに、このあと急激な雨。
寒いよねー。。。よりそって温まってるのかな??
すっかりルーチン業務は早くなりそのあとの時間を有効的に使うことができるようになった。飲むだけだけど。ということでアルベルゲの下のバルでビールを飲んでいると数名が食事のために隣の席についた。ジェームスとクライ夫妻、その息子のマイクだ。
ジェームスは元海軍だったらしく佐世保や横須賀に行ってたらしい。寿司好きだとか。すごくいい人で、サンジャンから歩いてきたのがわかるととても喜んでくれる。途中の道から歩き始める人が増えた今、同じ出発地点から歩き始めた人を見つけると、「おお同志よ!」とハグでもしたくなる気分なのはこちらも一緒。ここに来るまで約700kmも歩いてきているのだから。
アルベルゲとは違うバルで夕食を食べ、戻ってきてからワインをボトルで入れる。ヴィンテージと書いてるから頼んだが、イマイチ。渋いけど軽い。少し高かかったけどやっぱりクリアンサいっとけばよかった。2ユーロけちったばっかりに。
やっぱり競争のないアルベルゲ併設バルは高いわ。こないだの5ユーロの方が美味しかったもの。10ユーロ〜やっぱりボトルではなくグラスで何個か頼む方がハズレがなくていいなと思った。今度からそうしよう。
今日で残りの距離は100kmを切り、気づけば約80km。もはや和歌山から大阪に行くレベルでサンティアゴについてしまう。日数に直せば後4日。今まではずっと続くと思ってたこの旅も、日数に落ちると急に、、、いよいよゴールが現実味を帯びてきた。ゴール地点のサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
着きたいような着きたくないような、複雑な気持ち。なのに歩かなきゃと頑張る自分は一体何なんだ・・・
※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。
【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。