【スペイン巡礼26日目】初の40km越え!足は動かない、でも心は踊る!

 

■本日の工程
2016年5月6日 巡礼26日目
セブレイロ峠(7:45)→サリア(17:30) 約41km

人を殺す夢で目が覚める。二人を殺して逃亡している僕、ある時ひょんなことから一人目の殺人が周囲の人にバレそうになり、隠蔽しようと画策する、そんな夢。峠の幻想的(少々不気味)なアルベルゲだということ、そしてもう本当にゴールはそこまで来ているという焦りからなのか、嫌な夢。何を隠したいんだろう僕は。

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早朝の風景、昨日の夜より晴れてるけど、まだうっすら霧がかかっている

 

30分ロスしたら、ロスしたなりの人生に変わってく。

今日は曇り。またみんなとは別れて、今日も一人で歩く。一人は気楽でいい。足のダメージはそんなにひどくない。ただし起きて間もない頃の膝の痛みと股関節の違和感はどうにもならない、毎朝起きたときは「ほんとうに歩けるの???」と足に聞きたくなるほどだもの。

不気味な夢を振り払うためにも、早めにアルベルゲを出た歩きだす。だけれど15分ほど歩いたときに、今歩いている上の森の方から人々の話し声が聞こえる。。。「ああ、人少ないと思ったら道間違えたか・・・矢印もないし。」と気がついた。方角はあってるしおそらく道は繋がってるだろうけど、なんとなく気持ち悪い。こうゆうところは自分の性格だなあと思う。引き返して再スタート。15分歩いたら15分かけて戻らないといけない、つまり30分のロス。。。そして下り坂でしたので、帰りは上り坂。。。切ない。

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景色を見れば少しずつ霧が晴れてきている

 

昨日は雨だったこと、到着が遅かったことが重なって、着込んだ服はばっちり湿っている。標高1300mの風は冷たく、体温が奪われる。歩いている間に体が温もってくるのはわかってるので、最初は冷たいけどまあ仕方ない。ただブーツが濡れてるのは、ちょっと気持ち悪い。臭くもなりそうだし。。。でもまあ雨の次の日は仕方がない。仕方ない仕方ないと自分に言い聞かせるように元きた道を戻る、坂道が恨めしい。

それでも!昨日は霧がかっていて見れなかったけど、予想通りとても景色が良い。今日も曇ってはいるけれど、少し陽の光が差し込んだ瞬間、その美しさの一旦を見ることができた。道を間違ってなかったら、引き返す無駄な時間がなければ、もしかしたら見えていなかったかも!と無理やり間違ったことに意味を見出そうとしてみる、でもやっぱりそんなような気もするし、実際そんな風に思えるように思考が変わってきていることも実感している。

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雲の間から陽が差し込み山の温度が上がっていくよう。

 

森の中を歩いていると、「写真を撮ってくれないかと」声をかけられた。きれいな景色をバックに老夫婦の記念の撮影を手伝って、代わりに感謝の言葉と気持ちのよい笑顔の駄賃をもらう。ようやく今日も目的地に向けて歩き出せる気がする。

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いい笑顔、美しい景色を見たあとはみんな自然とこんな表情になっちゃうんだろうね。

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仲良さそうでなによりです。

 

人と人のいろんな距離感

森を抜けると、ゴオゴオビュービュー風は強くって、さっきよりも体感温度は低く感じる。息は白く、手は悴んで思うように動かない。朝晩の温度差、標高の移り変わりによる気候の変化は体にこたえる。蓄積している疲労が顔を覗かせる。

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行く先を示してくれる道標(命綱)

 

空を見上げると雲の動きが早い。街中牛の糞だらけのオスピタルをぬける。でっかい牛の糞の上には巡礼者の足跡。その糞をついばむ鶏は道路で放し飼いになっている。あたりは犬が多い。レオン、アストルガ、大都市を通るたび人が増え、知らない人が増えてきた。道で会う人はほとんど顔見知りだったのに、ゴールが近づいていることを思いだす。

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泥と糞が入り混じってもう見分けつけるのは不可能!ずいずい行きます!

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迫力ある鶏氏

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地面を見ると白ミミズ。んーーーなんとも言えない。

 

疲れた体も20分ほど休めばまた回復する。二回目の朝ごはんをとり、出発する。カフェコンレチェとパンオショコラのおなじみのセットり2、5ユーロとお手頃だし、甘いチョコは疲れた体に染み渡るから、お気に入り。いつのまにかカフェコンレチェに砂糖を入れるのな普通になってしまっている。昨日仲良くなった兄妹で旅するトーマスとバルで再会、彼らに別れを告げて旅路を急ぐ。

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何にもないけど何かあるような巡礼路

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壮大な冒険をしているかのよう(ま、してるか)

 

この旅をしていると不思議とグループが自然にできていく。けど中にはグループに入りたくない人もいるので、あえてペースをずらしたり、アルベルゲでなくホテルに泊まったりすることもあるという。英語が話せない僕は、まあそのあたりは気楽で、英語わかんないふりしてれば(実際わかんないけど)誰に気を遣わずとも自由に決められる。歩きながらそんなことを思い出したりしていた。

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ときおりあるオブジェの前でみんなで記念撮影しているグループも(だいたい最近歩き始めた人たちが多い)

 

ちなみに今、キーマスターは韓国人の金夫妻といっしょに動いている。キーマスターは目が悪いので坂道なんかは金さんが先導するストックにつかまりながら案内してもらっているみたい、助け合いがないとこの旅はやっぱり厳しい側面もある。英語ぼくより話せないのに、ずっと彼らとコミュニケーションとってるんだから、大したもんだと思うと同時に、逆に僕らは言葉に頼りすぎなところがあるんだろうなあと、ふとそう思う。

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そんなこんなであと150kmらしいところまできています。

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んー幻想的だなあ、何だろこの植物。

 

家に帰るまでが遠足理論、あるべき巡礼の歩き方

牛を撮影する。彼らは目線を外さないでじーっとこっちを見てくる。何を考えてるんだろう。そんなときこちらに向かってきた二人の男性とすれ違って少しばかりご挨拶。始めの頃のハッピーチーム5人組で歩いているのはもちろん楽しかったけども、一人でいるとこんな感じで道行く人たちとの会話も始まりやすいから、自分は結構好き。

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たくさんたくさんいます

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牛アップ1 平和でとっても幸せ感が伝わってくる

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牛アップ2 一方、こちらは調子こいてたらぶっ殺されそう

 

二人はこの旅で友達になったみたい。彼らはサンティアゴに到着し、歩いて帰っている途中らしい!まじエクセレント!!「昔の巡礼者は聖地に到着してお祈りして終わりではなく、そこからちゃんと家に帰らないといけないんだからね」なんてニュアンスのことを言っていた。確かにあるべき姿だと言える。家に帰るまでが遠足理論か。

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ドイツ人のエマとその友人のフランス人の二人組。

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湧き水もちょろちょろ。冷たくて気持ちいい

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サンダルが置かれてる。雰囲気あるなあ。

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次なる街までもう少し。

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なんと立派な樹。。。もう絶対倒れないだろうね

 

いい時間(13時すぎ)で街に着いたけど、「どうせアルベルゲに早く入っても食べて飲む時間が増えるだけ。」なんて今日に限っては思ってしまい、すこし昼ごはん休憩(トルティージャを頼んだけども、未だかつてないほどでかかった。腹が減っていたし、このあとの行程を考えるとあれくらい食っといてよかったけどね。)してもう少し先の街を目指すことにした。
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おなじみお昼ごはんのトルティージャとオレンジジュース

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いってらっしゃーい。

 

途中また2つに道が分かれた。比較的楽な国道沿いの新しい道と、街も数少ない古くからの山道。できるだけ国道とか人工的なところからは離れておきたい気分だったので、道は険しいけども後者の林道を選ぶことにしたので、途中街がなければサリアまで行く覚悟!(旧道なので地図が対応していなくてわからないのです。(ちなみにサリアはだいたい、いま20kmほど歩いてきて、さらにここから20km。ひえーこれまでだいたい1日20〜30kmだったので最悪2日分・・・)

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清々しい景色。空気中に水分が含まれているのがわかる湿度。

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駆け抜ける鶏(すごい柄とスピード)

 

空気が気持ちが良い。宿はないかもしれないけどもあるべきものを追い求めようとする。いいじゃない。最悪のシナリオを考えても、また濡れた洗濯物を明日着るくらい。あと水シャワーくらいか。そんなに大したことじゃあない。この道を通るのは今回だけ、気持ち悪くない選択をする。

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だいじょーぶだいじょーぶ。私は雨でも晴れでも服すら着てないよー

 

初の1日40km!足は動かない、でも心は踊る!

しかしこの道、ほんっとに誰も通ってない。そして軽く雨。そして午後もなかなかのいい時間、みんなはもうアルベルゲだろう。僕はさらに山を登っていく。湧き水が流れ、もののけが出てきそうな気配のする森を抜ける。様々な草木、こけがびつしりついた樹木。とても雰囲気がある。

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もののけ姫の世界1

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もののけ姫の世界2

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巨大ナメクジ?軽く10cmを超える大きさ(巡礼路名物)

 

今日は1日牛の糞の匂い。あちこちでカランコロンと牛の鈴。クセのある漬物風味のよい香りだわ、ご飯そのまま食べれそうだわ。そんなところでパンを頬張り、バナナを食べているもんだから、もはや何を食っても牛の糞の味が半分混ざってくる。(糞はもちろん食ってないけど臭いがね)

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そんなこと言わずに黙って歩きなさいよ

 

今日の行程はアップダウンが激しく、足にくる。栄養をとると体力は回復するんだけど、いかんせん足は正直。今まで痛くなかった足の裏まで痛くなってくる。辛くなると下を向いてしまいがち、でも、時折聞こえてくる鈴の音にはっとして顔を上げると自然豊かな風景が目に飛び込んでくる。だれに強制されてるわけでもないのに、勝手にしんどくなって辛くなってるのって、、、

???

誰に文句言うんだよと。ほーら、顔を上げて歩いているとコウノトリが翼をはためかせて真横をしゅーんと飛んでいく、すごい迫力。たんぽぽの綿が舞い散る道を抜けて、サリアを目指す。曇ってはいるけど気持ちが変われば、いつも以上に彩づいて見える。いつの間にか心が踊ってる。これだけ歩いたら今日ののビールはおいしいはず!気持ちのアップダウンが激しい僕。

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一人仲間を見つけた!

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緑の世界に真っ赤なザックカバーが映えるねえ

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牛ときどき美女。

 

サリアを目前にしてにゃんこトラップにひっかかる。僕をみつけるやいなや擦り寄ってくるではないか!仕方ないなあ(かなりうれしい)と思いつつなでてやる。先を進もうとすると並走してくる可愛いにゃんこ。残念ながらご飯がなかったので、コミュニケーションだけになってしまって、何もあげることができなかったのが悔やまれる。このときだけは痛かった足のことをすっかり忘れられていた(笑)なんせ約10時間、40km歩いたのは今日が初めてだもの。足は本当に限界。。。

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随分と遊んでしまった

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しかしきれいな顔の子

 

なんとかサリアに到着。今日は本当に疲れた、、、最近大人数のアルベルゲが多かったこともあって、できれば少ないベッド数のところに泊まりたかった。でも宿探しに体力を使うのはもう無理。。。数件歩いて行くと良さそうなところを見つけ入ってみると清潔そうで即決。

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アルベルゲ”クレデンシャル”

 

ワインはやっぱり寝かせたレゼルバがうまい!

泊まってる人も少なくて、下の段をゲットできた。下の段も久しぶり!(基本的に2段ベッドばかりなので、下の方が昇り降りがなくてかなり楽)とりあえずいつものルーチン(お風呂・洗濯)を済ませて、足を引きずりながらビールを飲みに出かける。(傍から見たらゾンビだろうね。。。)ゾンビの入店。地元のおっさんがカードゲームをしているところを背に、カウンターで出てきたピンチョスをつまみにビールを一杯。ほんと今日のビールは身にしみる。

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グイグイついでくれ〜

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真剣なオヤジたち。こちらでは本当に流行ってるみたい

 

店を変えて、再度ビールにハンバーガーを注文する。こないだ(サンティアゴの店)のハンバーガーが美味しかったこともあってまた食べたくなった。(あと意外にハンバーガーが一番野菜摂れそうなんだよね、このあたりの外食では)このあたりは大皿に盛ったピンチョスから1つ手づかみでとるスタイルらしい、さっきの店もそうだった。サッカー中継を見ながらハンバーガー、ゆっくり地元の人たちと食べる。

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ハンバーガー!!なんともうまそう!

 

ゆっくりしすぎて歩き出すときに膝の痛みに始まって、下半身全体が痛くて明日が心配すぎる。もう一軒行こうとしたけど、時間のことも考えてアルベルゲに併設されてるカフェに行くことに。ホスピタレイラ(女宿主)がカフェも切り盛りしていて、美味しげなワインを頼む。得意のクリアンサを頼んだのですがなかったので、さらに寝かせたレゼルバを持ってきてくれた。(ワインの寝かし加減の説明はこのページで)しかし、このワインは本当に美味しい。1杯200円弱、頼まないほうが失礼だわ。

そしてワインを頼むともれなく、でっかいトルティージャがついてくる。今日2つ目。クリアンサ以上に寝かせたレゼルバ。うますぎてすぐ飲み干してしまったのでもう一回頼む。そしたらまーたトルティージャ。今日卵食いすぎやろ。ハンバーガー食った後でさらにトルティージャ2つとパン二切れ。(そう、トルティージャにパンついてくるんやもん。ここは何にでもパンがついてくる)しかしこのワインほんまにうまいわ。

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程よい重みとコク。口の中に拡がる香り。天国すぎる。

 

しかし、これ以上ワイン飲むと止まらなくなるので再度ビールに切り替えたら、今度はチョリソーのタパス持ってきてくれるって!めちゃくちゃ食ってるわ、このお店のお姉さんすごくいい人だわ。ただ、あんなに歩いてはいるけど差し引いてもプラスなんじゃないか。。。明日も歩こう。(言わんでも歩くか)ハンバーガー食わなければよかった。。。

ちなみにこの前(15日目)に会ったオーストラリアの親子で旅する人たちにアルベルゲで一緒になる。お母さんが膝が悪くてバスやタクシーを使って巡礼してるみたい。大変だろうけど頑張ってほしい。最後に写真撮っていいか聞いてみると快く引き受けてくれた。

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満面の笑みでポーズ、実によく似てる。

 

すごくお母さん思いのお子さんなのが見て分かる。その優しさは顔から伝わる、誰が見たっていいやつだろうね。はあ
いい出会いもあり、うまい酒も飲めて言うことなし。今日もよい1日だった。

 

※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。

 

【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。

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