【スペイン巡礼25日目】幻想的な霧の中を進む。標高1300m超えの山登り

 

■本日の工程
2016年5月5日 巡礼25日目
ヴィラフランカデルビエルソ(7:30)→セブレイロ峠(16:00) 約30km

今日は朝から雨。考えてみれば久しぶりの雨だ。草花にとっては恵みの雨だけれど、巡礼者にとってはやっぱり辛い。特に歩きながら写真を撮っていくことを楽しみにしている僕としては、雨だとカメラの機会も奪われてしまうから、、、余裕があればいいのだけども、やっぱりしんどくて、残念。

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まるで化学結合のような旅

昨日も膝が痛かったけど、相変わらず今日も痛くって、そんな僕とはスピードがあわないだろうから、朝ごはんを食べてひろくんとは別れ、今日からはまた一人で歩くことにした。いろんな人と歩いては別れをしているなと思ったとき、ふと学生の頃、化学の時間に勉強した分子と原子の話を思い出した。

原子と原子が結合して分子となる。酸素(O)と水素(H)がくっついて水(H2O)となるあれのこと。そして水(H2O)だったものが分離すれば、また酸素(O)と水素(H)に戻るようなそんなイメージを脳が象っている。

誰かといると誰か違う人になれたり、みんなでちがうものになれたり。でも離れたらまた自分は元どおり。まるで自由自在の原子そのもの。それが全てではなく有機的なつながりで、何かあれば結合するし何かあれば分解してしまう、でも自分は変わったわけではなく、繋がっていただけ。一人でいてもみんなといても自分は変わらず自分なのです。

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雨と巡礼者とねこ

 

花や草は久しぶりの雨にいきいきしてる。ナメクジも。「はしゃいで道路に出てきちゃって踏まれないように気をつけないといけないよ!」なんて思ったものの、よく見ると道端にはぐちゃぐちゃになったナメクジがたくさんいる。すごくゆっくり進むナメクジは同朋だったものを通りすがりに見るとき、何を考えるのだろう。通り過ぎるまでにたくさん時間がかかってしまう。

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今日は初めましての人もたくさんいる

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でもカメラを向けるとみんな陽気にポーズをくれる

 

行けるときには思い切って歩を進める!

カランカランカランコロンと音が聞こえる。横を向くと放たれた牛たち。雨になってフードを被ると目の前しか見えない。こんなに牛や羊がいたのに全く気づかなかった。

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横を見ると牛がのんびりと草を食らう

 

雨はカメラの機会も奪ってしまうから、いつも写真を撮るためにキョロキョロしている僕としては、その理由を奪われてしまったらもはや、信仰心だけ置いてきた満身創痍の巡礼者。それでもなんとか今日はねこセンサーだけを頼りに目の前に拡がる道を歩く。結果的に、レアなねこだんごをとれたりしたし、天候の割にけっこうご満悦。しかし寒いからみんな風邪引かないように〜

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まるでジブリの世界にいるような貴重なねこだんご

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鶏の放し飼いも、もう見慣れた風景

 

途中危ないから道路の左側を歩けとイケメンドライバーに言われた。右側通行のスペインでは、右を歩いてると例えば、山道なんかのカーブでは見えなかったりするからだ。巡礼する道は巡礼者用の道だけとは限らず、ときには車道も一緒に歩くのだ。

今日は歩くペースを緩めたせいか、目標地点に着いた頃はまだあまり疲れていないように感じた、時間もまだお昼を少し過ぎた頃みたい。痛かった親指も麻痺してあまり痛みを感じなくなったおかげもあって、生オレンジジュースを飲んで休んだあとは思い切って明日の目標地点までも目指すことにした。

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風邪気味のときにはビタミンC!

 

途中の街でクレープを食べるチーズ、トマト、レタスなんかが入ったもので少しカレー風味に仕上げてあった。いい香り。「家に帰ったら作ってみようかなあ」なんて思いながらオレンジストロベリーのナチュラルジュースもいただいた。これも絶品!疲れた体に染み渡る・・・おいしかった。これでたったの4.5ユーロ。しかもキッチンをよーく見ると、作ってくれていたのは途中で「反対側の道を歩きな」と教えてくれたイケメンだった。(外から部屋に入った温度差でカメラのレンズが曇って写真がとれなかった・・・悔しい・・・)

 

めちゃツライ坂道、、、だけどもとても幻想的なセブレイロ峠

目的地のセブレイロ峠への道。雲の中を進む。山が雲に包まれて、目の前の道が見えない幻想的な世界。である一方で、道は雨でぐちゃぐちゃ。ヌメッとした泥に足をとられながら歩く。出発時は標高500mだったのに、目標地点は1300m、しんどい、さむい、しにそうの3Sや。

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謎の荷車と泥道

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うーん、まだまだこれからか。

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同じ日に峠を登ったよしみで写真を撮る

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そしたら逆に撮ってくれたりも、若干引きつり気味だけどまあよしとしよう

 

カポカポという音が近づいてくる。途中馬が下りてきたりしてこれがまた迫力あるくのだけど、彼らの通った後には大量の馬の糞。出したてはわかりやすいのだけど、後半は泥と糞が混ざり合って目で見て避けて歩くのはもはや不可能。どーろどろ。。。潔さが必要。

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馬。でかい。急にきたらびっくりする。

 

この峠からガリシアにはいったみたい。道の途中で石碑が立っていた。ここからサンティアゴまでは160キロメートルらしい、初めのころはあと700数キロみたいな看板だったのに、思えばよく歩いたものだわ。

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あと160kmらしい!ガリシアの文字が見られるように!

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しんどいけどみんな楽しそうだから不思議。

 

疲れてるし、今日は一人だしゆっくりしようかと考えつつ道を歩く。峠のてっぺんに辿り着く頃にはいよいよ霧(雲?)で全面に覆われる。真っ白なものに囲まれて、周りがほとんど見えない状態。

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じょじょに濃くなってくる霧

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あたりがみえづらくなる

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もはや、なんか映画の中にいるみたい

 

これはこれで素晴らしい体験だけど、晴れていたらとても綺麗な景色を拝めそうだなあと思いつつ歩を進める。あと、2,3日ずれていたらきっと晴れた景色も見れたんだろうけど、そこはやはり一期一会の世界。今出会う景色が今の僕に必要なので、このタイミングでここにいる。自然とそう思う。そんなことを思いながらただひたすら山道を登る。

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途中で先日話したパワフルなじじいと出会う

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チェリーをもらった、その種。果物の甘いものがありがたい。

 

郷土料理に舌鼓。ラコンに山羊チーズ!

登りきるとそこにはコンクリートの道が。ようやくセブレイロ峠の山頂にある本日の目的にたどり着いた。セブレイロは1つしかアルベルゲがなくて、これがとても大きい。同じペースで泊まる人はみんなここまでやってきているみたい。ダイニングルームでは見た顔が一堂に会して。なんとなく戦友と一緒にいるような気がして、早めのプチ同窓会をしているみたいな気にもなってくる。

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ようやく街についた、、、すごい雰囲気ある街や幽霊でそう。。。

 

ちなみに今日の僕の下のはマリオだった。「よっ!」と挨拶を交わしつつもマリオは比較的いびきがうるさいことを頭で思い出していた。すまんマリオ。いや先にお前が謝れマリオ。

またしても水シャワー。さすがに雨降りで疲れた体に水シャワーだと治りかけの風邪がまたぶり返してしまう。今日は濡れタオルで体を拭くことにしよう。やっぱり、遅くても15時くらいにはついておかないと16時以降のシャワーは、ほとんどが水な気がする。今日は寒さと山道で疲れきっていたため洗濯も水洗いで済ませる。1日くらい風呂なし、洗濯適当でも死なないし。

結構な雨。歩いてるときは覚悟して装備を整えて歩くけど、歩き終わった後、雨の中また出るのはとても億劫になる。(なんせ傘がないもので)でもアルベルゲには食料は売ってないので、雨の中仕方なくバルにむかう。今日は本当に仕方なく、、、多分。

ここがいいなあと思って入ったバルにキーマスター、ひろくんがいる。やっぱりここまでやってきていたみたい。彼らはペースが早いからもしかしたらいるかなあと思ってたけど、「楽な行程だったので2日分きた」とか言ってる。楽じゃなーーーい。

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雨でも寒くてもまずはビール

 

この街の教会がなかなか良いから先に行ってこいと促されたので、ビール一杯だけ飲んで、また雨の中教会にむかう。質素だけど、味わいのある良い教会で、本物のろうそくが揺れていた。

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教会1 キリスト様、こちらも雰囲気すごい〜

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教会2 おしゃれな本棚

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教会3 ろうそくが幻想的〜 本物の火がこんなにあるのは珍しい

 

さくっと教会を堪能して、ひろくんらと飲む為にバルに向かう。1軒目は期待していたプルポが美味しくなかったので、手早く済ませて2軒目に期待。僕が入るかどうしようか考えていた店に彼らを誘う。ひろくんと二人で郷土料理を食べに行く。看板はいい味が出てる。

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タコなんだろうけど、ここじゃ幽霊みたいに見える(オバQみたい)

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店の中も素敵な雰囲気

 

キーマスターは体調が悪いことと、僕が来る前にたらふく飲んでたことを理由に離脱。山羊のチーズのはちみつがけ。豚の塩漬け肉のラコン、ジャガイモやまめ、塩漬け肉がたっぷり入ったカルドガジェーロを頼む。「ああ、どれもこれもワインにあう。」

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塩漬けらこーん

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山羊チーズwithはちみつ(女子好きそう)

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なんか闇のスープ的な見た目のカルドガジェーロ(美味しい)

 

結局またしてもワインをボトルで頼み、ひろくんと二人でシェアした。ちなみにこの日ゆきちゃんは昼頃この街の前でプルポたべたくてぼくらをまってたみたい。でも次の街にいこうかともまよっていたらしく、そんな時キーマスターが街に着いてゆきちゃんに説教したみたい。「迷ったら行け!」と背中を押したら次の街に旅立っていたのだとか。「迷ったら行く」シンプルだけどなんかいい。飲んだくれだけどなんとも先生ぽいではないか。

 

明日には明日の風が吹くし、みんな自分のペースで歩くだけ

帰りがけ朝ごはんを買うという理由で、ティエンダ(小さなスーパー)によるが、まだ時間は7時半。もう一本飲もうかということで、今度は少し良いワインを頼む。飲みながらフェイスブックを見ているとデイジーからメッセージが入っていた。彼らは今日はサリアにいるみたい。返信をしていると、デイジーから電話、デイビッドもいるみたい。

昨日は今いるセブレイロだったのに、とても早い。ここからサリアは40キロほどある。会いたいから、お前も合流しようと言われる。どうでもいいやつにわざわざ電話なんかしてこないだろうからとてもありがたいけど一気にサリアはきっついなあ。明日は恐怖の下り坂もあるし。。。

まあ、行けるところまでしか行けないし、明日には明日の風が拭いて桑ということで気持ち良い酔いとともに寝ようかと思ったら、どこからともなく和の音色。尺八の音。彼だ、この前道であったジェームスだ。日本人がスペインで外人に尺八のレクチャーを受けるってどーゆーことだよ。

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彼はアメリカで学んだらしい。なんか妙に似合うぞ尺八。

 

毎日夜中に起きるのはみんな同じなようで、それぞれの部屋から誰かのいびきが聞こえてくる。まれに殺人的ないびきをかく人がいて、これには困る。いびきは故意に出してるものではないんだものね、うーん仕方ない。「ズゴォオオオオオオオオオオオ」デカイ部屋にいびきの音が響き渡る。しかし、でかすぎるでこのいびき。

 

※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。

【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。

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