三軒茶屋Bar Pausaというお店があった

大好きだったバーが閉店してしまった。心の中にぽっかりと穴が開くというのはこんな気持ちを言うんだろうかね。バーとは、マスターとは偉大だったなあと失くなってそれをさらに噛み締めてます。

三軒茶屋Bar Pausaというお店

現在の場所(三軒茶屋の三角地帯の一画)に移転して営業をはじめて、15年営業していたBar Pausaが、2024年9月14日で営業が終了した。移転前もあわせると20年営業していた、ということは今の僕がちょうど40歳だから人生の半分ほどの時間お酒を提供していたのだ。すごいもんだ。

僕が通い始めたのは、2016年からだったので、約8年のお付き合いだった。レンガ調で中はあんまり見えづらく、少し入りにいくい。当時の自分だけだったら多分入れてないだろうかな。僕は素敵なご縁があったので幸運にも紹介してもらえて仲間入りすることができた。(入ったら気さくな感じで、しかも安価でこんな最高な場所はないのだけども、この扉を開けた勇者しかその恩恵には与れない)

最後の1年半は土曜日だけバーテンダーとして自分もお店に立たせてもらったりして、働く側としてもお店を見ることができた。このお店では、ウイスキーの美味しさ、バーの楽しさ、振る舞い方などなどお酒にまつわる楽しみを全て教えてもらった。そして人生で初めて行きつけとなったお店でもあった。とっても感慨深い、しまっちゃうのは本当に寂しい。

バーにおけるマスターの人柄

マスターの野原さんは不思議な空気感を持っており、飄々としてるけども、時に厳しい面も見せるし、締めるところは締める。そんなマスターに気に入ってもらえたのは、飲み手として認められたような気がしてとても誇らしいことだった。お店側にスカウトされたときも本当にびっくりだった。

マスターだでなく常連のお客さんも、面白い人が多かった。社会的にもちゃんとしていて、昼間はそれぞれの職場でバリバリやられてる感じの人たち。通い始めた時はまだ30代前半でお店の中では、最年少クラスだった自分にも紳士的に接してくれたり、とても心地の良い時間を過ごさせてもらった。腹が捩れて死んでしまうかと思うほど笑った夜もあった、あの夜あの場にいたメンバーは最終日まであの日は伝説的に面白かった、神が降臨した日だったと思い出し笑いしていた。

僕自身がお店に立った最後の土曜日には、マスターの常連さんを呼んでくれて、場を盛り上げてくれた。(僕が土曜日お店を初めてから常連になってくれたお客さんや浅草の飲み友達も駆けつけてくれたりで大いに盛り上がって最後のお勤めを終えることができた。ありがとうございます)そういう気遣いもきちんとしてくれて、いろんな面で面倒を見てもらった。

マスターの最後の営業日は僕もサポートで入らせてもらったのだけども、お外にまで溢れるくらいに混雑して、さすがに愛されてるなあと改めて実感した。バーはマスターの人柄が大部分を締める、自分が話しやすいとか、面白い話を聞けるとかも大切だけども、だいたい自分が感性にあえば、そのマスターに惹かれてやってくる常連さんともフィーリングが合いやすいもんだ。そうして集まった仲間がこんなに駆けつけてくれるお店はほんとに素晴らしいもんだなと。閉店のお知らせを聞いて泣いちゃう人もいたのだとか、ほんとに愛されていたんですね。

バーは自分磨きの場所

僕もバーテンダーとしてお誘いを受けた時には、自分磨きとして良い経験になるからということも言われていた。マスター抜きで一人でやることになる、つまり自分という看板を背負ってやる。最初はやはり苦労したけども、最後の方は少し安定してきたかなあという感じだった、いい流れきたかなというところで終わってしまったのは残念だったけども。けどもいつまでもあると思うな的なやつですね、それも勉強。なんでも推しがあるうちに推しておけということですね。

最終日のマスターは20年自分磨きを続けてきた結果の集大成ということなんだろうね。Bar pausaはこれからも自分のお酒生活の原点として心の特等席に座っておいてもらおうと思う。何かあった時にすぐに取り出せるように。

このバーではほんとにいろんな人に出会うことができた。この経験をベースにこれからもよいお酒の時間を過ごしていきたいと思う。バーで過ごす時間は何事にも代え難いですね。空になった棚を見ながらそんなことを思っていたのでした。お疲れ様でございました。

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