曇り空。ガリシア地方は本当によく天気が崩れる。今日はゆっくりした日。決まっている予定はサンティアゴ・デ・コンポステーラに戻って夜のミサに出ることくらい。(金曜の夜にボタフメイロが宙を舞うぞ!という情報を得たので、絶対帰らねば!)それまでの間に日本に帰るまでの旅の計画を立てるくらい。(もともとの巡礼計画よりも早めに着いたので)
ウミネコと海のネコ
海は透き通って本当に綺麗。ウミネコを撮りながらサンティアゴ・デ・コンポステーラに戻るバスを待つ。ウミネコの鳴き声って本当に猫の鳴き声に似ていて、「あ、猫かな?」と思ったら屋根でウミネコが鳴いてる。波のザザーンという音とウミネコの声。静かに時間が過ぎていく。
ウミネコの多い街だ、暇つぶしに彼らをファインダー越しにおってみる
隣りにいるひろくんが「何もしない、やることのない時間というのはいいよな」というようなことを言った。ぼくはカメラのファインダーを覗きながら、その言葉を受けて頭のなかで考えてみた。
「特別なことをしながら感じるゼータクと、特に何もせずにぼーっと時間を過ごすゼータクはどっちがよりゼータクなんだろ」
狙ったカットはなかなか撮れない。ウミネコめ。と、ウミネコを撮っている近くにまた鳴き声。「いや、今度こそ猫!」裏の家の庭は猫の遊び場だったらしくて三匹の猫がじゃれてる。ファインダー越しにのんびり猫を眺める。
乗り遅れてはいけないのでバスのターミナルまで早めに移動。バスが来たので、早めに乗り込む。どこにいたのか、わりと人数が多い。50人はいるだろうか。でもバスのほうが大きくて、二階建てのバスだった。
30分ほど経ったころ、酔った。そこそこのくねくね道のせいか、それとも乗り物久しぶりだから?「治ってくれ〜治れ〜。」サンティアゴ・デ・コンポステーラ戻ったらまた美味しいもの食べないといけないのに〜。
再会
サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着後、ひろくんと別れる。「夜のミサで会えたらいいね」と言いながら、彼は明日ポルトに行くらしくバスのチケットを買いに行った。
この日は金曜の夜ということもあってか、人がとっても多い。まずはアルベルゲを確保しないといけないと思って、2日前に泊まったラストスタンプというアルベルゲをあたってみた。
ブザーを押してドアを開けてくれたのはなんとデイジー!!最後に会うことができた!!わお!これからフライトらしい。また会いたい。帰っても連絡するね!ということを言って、彼女は扉を出て行った。
しかしながらアルベルゲは空いておらず、その後もホテルをあたってみるが全て満室。アルベルゲ難民になってる間にこれまたひろくんに再会。。。そしてさまよってると、なんとヨーコさんにもばったり遭遇!彼女は今日到着したらしい。本当に偶然というのは恐ろしいということを最後まで実感する、そんなご縁に感謝。
その後、何件も断られた末ようやく少し外れたホテルを確保して、ミサに参加するためカテドラルに向かう。
最後のミサ。黄金に煌めくボタフメイロ
このミサを見るためにサンティアゴに帰ってきたのだ。カテドラルの中には何千人いるのだろうか。言葉はわからないけれど、司教?が熱心に話をされている。
なんとなくわかるなような気もするような、でもやっぱりわからない話が終わると、ボタフメイロを何人もの人たちが取り囲み、火をつける。煙を吐くランタンを幾人もの人たちが力一杯揺らす。揺れるたびに、様々な香りを含んだ煙がペリグリーニョ(巡礼者)たちを包み込む。
昔は長旅の末についた臭いを消したり、虫を殺すために行われていたということだったらしいが、今はミサの名物となっている。でもやはり、なくてはならない儀式。この煙に包まれると、魂の浄化が完了するようなそんな気分になる。
その後は、少しナリとジャック、りんちゃんと電話をした。今はどこにいるだの、帰っても会おうね、なんて言いながら一足先にサンティアゴ・デ・コンポステーラを離れることを告げた。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ最終日は、ヨーコさんとひろくんと打ち上げ。最後にプルポ、ロブスターのパエージャを、おいしいリオハのクリアンサワインで堪能する。この旅始まってから初めての高級レストラン。やはりおいしい。日本に帰ったらこのゼータクをするのにいくらかかるんだろうか・・・日本帰ってからもお疲れ会しようと温泉旅行を計画することを約束して、二人と別れる。
最後にペドロに会うはずだった店を探して、ペドロに会いに行く。でもいない。遅くなってしまったから別の店に移動してしまったんだろうか?言われた店にいなくて、なんとも言えない申し訳ない気分になって、あたりをさまよっていると大きな声で呼ばれた気がした。
振り向くとペドロが飲んでいた!明日は帰るみたいだったので今日はそのまま、、、熱い抱擁を何度も繰り返す。この僕が抱きかかえられるくらいペドロはでかくて力持ち。過ごした時間は少しだったけど、とてもいいやつだ。また連絡する旨を伝えて別れた。
彼とは何かとっても気が合った気がして、この旅が始まって初めて本当に泣きそうになった。
ホテルに帰ってきてから会えなかったデイビッドに下手くそな英語で連絡を入れる。すごく嬉しい答えが返ってきた。意訳するとこんな感じかな。
「お前はすごい、自分の周りのすべての人に伝播するとてつもないエネルギーを持ってるよ!俺は何度も何度も分かち合うことができてうれしい。お前は俺の兄弟だ。 大切に思ってるよ。」
このスペイン巡礼の旅で得られたものは、間違いなくお金では買うことのできないものばかりだった。こんな友人に出会えたことは、はっきり言って運が良かったんだと思う。今日が終われば、明日はこのサンティアゴ・デ・コンポステーラを発つ。
ここで出会い最高に仲良くなってしまったデイビッド、ジャック、ペドロ、ナリ、デイジー、キーマスター、ひろくん、ヨーコさん、りんちゃんみんな素晴らしい人ばかりだった。
明日からはまた一人。よい出会いがありますように。
※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。
【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。