■本日の工程
2016年4月20日 巡礼9日目
ナヘラ(10:30) → サント・ドミンゴ・デ・ラカルサーダ(14:30):21km
今日は朝一でバスに乗って、忘れ物をとりに一昨日泊まったアルベルゲを目指しログローニョに向かうことに。昨日の就寝間際、忘れたアルベルゲに電話してもらったのだけど、電話がつながらないからとりあえず行って来いということだった。今は早朝で、電気もついていない薄暗いバス停にいる、先客も一人いるので、ここで間違いなさそう
早朝のバス停、雨。道がわからない。
バス停はわかったのだけど、どのバスに乗っていいかわからない。昨日からの雨だけど、今日は特に冷たく感じる。スゴロクでサイコロを振り「6マス戻る」とかが出た気分に近い。4月の北スペインの朝はまだまだ寒く、雨は心細い気持ちに追い打ちをかける。
バスが来るたびに「これログローニョいく?」と、並んでるお兄ちゃんやおばさんに聞いてみる。2回くらい「だめだ」と言われた後に、ようやく「これ、乗っていいよ」と。はあ、ほんとよかった。とりあえず1つ目ハードルクリア。
45分ほど車に揺られて再び訪れたログローニョという街はとても大きい(昨日あんなにかかったのに45分!)昨日もきてるのだけど、昨日通った道は旧市街(街のほんの一部)、今の市街地はとても大きくてバスターミナルからアルベルゲまでの道が全くわらない。(基本的に巡礼路は黄色い矢印があるから地図はいらない)wifiのないケータイの無意味さを実感!
10分ほど意味ない地図とにらめっこした末に、「ああ、あかんわ。ぜんっっぜんわからんわ。」と開き直って、道を歩く人、街を掃除する人、キヨスクのような売店の人、いろんな人に聞いてみる。
少しずつ近づきながら、見覚えのある落書きを見つけて、なんとかアルベルゲにたどり着いた。(しかし、聞いた人はみんな親切に教えてくれるので、知らない場所でも安心して迷えるもんだと、本当に感謝と同時に感心)
昨日泊まったアルベルゲについたのは9時ごろ。相手をしてくれたのは次の巡礼者を迎える準備をする掃除のおばちゃんだった。また身振り手振りのジェスチャー&単語で忘れた状況、忘れたものを伝える。(スペイン語しかわからないおばちゃんだったので、昨日の宿泊者だと伝えるのも一苦労)
なんとか理解してくれて、奥の部屋へ。探しものを持ってきてくれたら、なんと忘れたことも気づいていなかったものまでできた!(しっかりしないと自分・・・)もう忘れ物がないかを再度確認して、カバンに忘れたもの(カメラとiphoneの充電器、手帳)を一通りしまう。
お礼を言ってアルベルゲを出ようとした時に、わざと意地悪そうな笑顔で「もう忘れ物ない?」と、聞かれ、僕はもう大丈夫だと思ってたけど、もう一度カバンを探るジェスチャーをしたあとに、元気よく親指を立てて、「グラシアス」とドアを開けた。
自分で解決できない状況を作ることが旅を楽しむコツかも
忘れ物をしたことで新たな体験、気付きがあった。余計な時間とお金の浪費、精神的な疲労はやっぱり当然あったけど、こんなにいろんな人に助けてもらうことはこれまでなかったなあと。それは今まではチームのメンバーに知らない間に助けてもらっていただけのことであって、自分が一人でやれているということではなかったことに気がついた。
他人に助けてもらうという経験ができてよかったように思う。昨日のアルベルゲの巡礼者たちにはいろんなかたちで勇気づけてもらったし、ホスピタレイラにもすごく親身になって解決策を考えてくれた。何より地図をもっていたりwifiがつながっていれば、こんなに地元の人とコミュニケーションをとることはなかっただろう。それがよかった。
ログローニョのバスステーションの前、いろんな方にお世話になりました
確かにケータイがあれば自分で解決できるかもしれないけど、きっと時間ももっとかかってたことだと思う。自分だけで解決できない状況を作っておくことが旅を楽しむコツかも。
全部自分でどうにか完結させようというのではなく、頼ってもいいし、少しくらい抜けているところが有ってもいいんじゃないかと思う。(あんまり気を張り詰め過ぎるとここでは疲れそだし、何よりそれによってのがしてしまいそうな体験が多い気がする)
こちらから一方的に助けを請うスタイルだけど、みんな親切にわかりやすく教えてくれようとした。(聞いた人ひとりも嫌な顔されていないのは運が良かったからだけじゃな気がする)とてもありがたい。だから逆に日本に帰ったら、困った外国人を助けてあげようと思うもの。
そう思いながら再び、バスターミナルへの道を歩く。迷いながら来たかいがあって、目印になるような建物はしっかり覚えていて、帰りはとってもスムーズだった。
約束の街を目指して歩くも張り切り過ぎは要注意・・・
またナヘラに戻ってきたのは11時前頃。無駄な時間を極力減らすために、バスターミナルから街の出口まで、昨日の夜に作ったボカディージョをほおばりながら歩く。いつもより、3時間以上も遅れてる。忘れ物を見つけた安堵感とこれから今日の工程を考えた時の絶望感、なんとも言えない気持ちは天候にあらわれてる、うーん絶妙な曇りである。
いつもは歩き出す時間がみんな同じなので前後には見た顔が何組もいるのだけど、これだけ時間がずれると、だーれもいない。こんなに人がいないところを歩くのはこの巡礼が始まって初めてのことだった。
それでも前の日に、デイビッドたちから「グラニョンという街で待ってるよ」と言われたことがあったので、その街を目指して早めのペースで歩く。しかし思ってたよりも、工程は厳しい。上り坂ばかり。なのに、いつもよりペースを1,5倍くらいに上げて歩く。
ザックから水を取り出すのを手伝ってあげた人も。ザックを下ろしたくないのよ、ほんと。
休憩をとらずに歩き続けていたことから、いつもより足に負荷がかかってきていることがわかる。疲れたとかではなく、痛いというレベル。3時間ほど歩いた時に、これはちょっとグラニョンまでは厳しそうかもしれないなあという気持ちに。
でも場所によっては昨日からの雨で道がぐちゃぐちゃ。本当に歩くところがない。。。
買った地図のモデルルートはグラニョンの一つ手前の街サント・ドミンゴ・デ・ラカルサーダが今日の工程。グラニョンはその街から更に6.5㎞上り坂の先。今の足の状態を考えると結構辛い、、、というか非現実的。とりあえず一つ手前の街についてから考えるかということで、焦点をその街にしぼり、歩く。。。
途中街。そりゃ矢印ほしいけど、これはふざけすぎ。いらっとする。心を落ち着けよう。
心が折れた時には無理しない。
なんとかサント・ドミンゴ・デ・ラカルサーダの街に到着。街を歩いていると、ちょうど宿から出てきたキーマスターに遭遇した、久しぶりな感じ。そのあとも、ナリやピンを含める顔見知りの人たち数人と出会う。少し話すと、安心してしまったのか歩く気力がどんどん失われていくのがわかる。
タイミングよくナリとピンが歩いてくる、「ああ、知った顔を見ると安心してしまう。。。」
そんなときキーマスターもどこからともなくやってきて、声をかけられた。「心が折れた時に、体に無理をさせちゃだめだ」と、そこで無理に頑張らせた時の消耗はとても大きいと。さすがに元教員目線からの言葉には説得力があって、僕は素直にその言葉に従うことにした。デイビッドたちには明日合流すればいい、会える運命ならきっと会えるはずだから。
まだ工程も4分の1が終了した程度。これからも無理に付き合わせる体なので、今日ここで泊まることにしよう。そして力がつくものを食べよう、そう今日は肉だな、肉がいいな。そうだスーパーへいこう。肉、肉、肉、肉。。。。
たった一歩でいい。半径を伸ばせば円の面積って思ったより大きくなる
この2日で気づいたことは、今のコミニュティに属しているけど、外れてみると、また新たな出会いがあるし、そこから得られるものも多い。当たり前だけどそういうことを強く思った。
自分がいる世界から一歩でも踏み出してみること。半径が増えれば、自分が思う以上に円(自分の世界)は大きくなるものである。たった一歩でいいし、むしろ一歩ずつくらいでないとついていけない。自分に振り回されない程度に、伸ばしていきたい。
今日の夕食時は韓国人グループにも大いにお世話になったし、楽しませてもらった。みんな本当に優しいのよね。
絶対言葉わかってないのに、溶けこむキーマスター(ちなみにキーマスターはどうやら、フランス人の道を制覇したら、イギリス人の道、ポルトガルの道を制覇するらしい。馬鹿すぎるけどうらやましい。)この人は一歩どころじゃないだろうなあ。
就寝前、ブラジル人のジューゴと友だちになった。ジューゴはとてもいいやつで、しかも日本もとても好きみたい。お休みなさいを筆ペンで書いてあげただけでとても喜んでもらえた。何回も聞き直してくるし、僕の名前も忘れないようにちゃんとチェックしてくる。いいやつなのである。なんとなくジューゴとはまた会える気がする。なんとなく。
楽しんだ後、就寝前はそそくさと協力してお片付け(みんな手際が良い)
明日は今日ゆっくりした分がんばろう。またみんなに会えるといいなあ。
※この記事はその日書いたものをベースに、後日加筆修正を加えたものです。
【スペイン巡礼780km|自分探し旅行記まとめ】
2016年4月11日〜5月10に敢行したスペイン巡礼780kmにわたる自分探し・世界遺産・三大聖地を巡る旅として30日間ひとりぼっちで旅に出てきました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、スペイン巡礼に関するあれこれ(準備、持ち物、費用、ルート、日数、言語等々)をまとめています。