今日は出産を控えたとある人にメッセージを送るにあたり、
谷川俊太郎のこんな詩を送ってみた。
「ここ」 谷川俊太郎
どっかに行こうと私が言う
どこ行こうかとあなたが言う
ここもいいなと私が言う
ここでもいいねとあなたが言う
言ってるうちに日が暮れて
ここがどこかになっていく
短い詩ではあるけれど、
大事なことがたくさん詰まってそうです。
解釈はたくさんできそうですね、
ここは変わらない、でもここがどこかに変わってくということは
それを見るわたしがきっと変わったんじゃないかなんて思うのです。
わたしとあなただけだったここに、もうひとりの家族ができる。
それはもうわたしとあなたが知っていた「ここ」ではないはず。
子供が成長するにつれ、
きっと「ここ」も「どこか」へとなり続けていくのでしょう。
そして、そんなことを思って、
詩を送った私もまた今は「ここ」にいたのです。
この銀杏の黄葉で彩られた外苑の片隅に。