ファッション領域のライティングで曖昧で有機的なつながりを考える

装苑、ハイファッションで編集長をつとめ、長らくファッション業界の最前線で活躍されている西谷真理子先生の話を聞いた。講義の内容とメモったものから感じたようなことを備忘録。勝手な解釈で書いてるので、過激なことや間違ってることもあるかもだけど、先生のせいじゃないことだけお先に。

ファッション・ライティングの領域とはざっくりこんな感じ。

・コレクションのレビュー

・デザイナー論、インタビュー集

・産業の構造やファッション事象についての批評、考察

・動向やトレンド分析

・ファッションとは何かという哲学的論考

・雑誌のネーム原稿

コレクションのレビュー・批評について

さて、コレクションのレビューについて。日本の風土は批評を嫌う。日本は忖度するライターが多いので、描写や情報の羅列のみに終わるケースが多くなりがち。海外はけっこうバンバン書いてるのに。そんな中で異色なのがfashionsnap、フリーのライターが自由にコラムを書いている。自由に書かせてくれるので、批評的、文学的、アート的だったり様々な角度からの書きっぷりが楽しめる。

fashionsnapはこちら→ https://www.fashionsnap.com/article/post/

確かに批評って書き方が難しい、批評は批判ではないので、1つの視点を提示するような感じ。言い方ソフトだけど、芯は硬いぞ!っという感じで書いてみればいいかもしれない。

ファッション史は日本史

デーヴィッド・マークスの「アメトラ」単にブームの紹介を書いているわけではなく、もちろん上から目線で批評しているわけではない。日本人がアメリカンファッションを受け入れ、購入、ブームに至るまでの社会的な背景や独自の観察などから書かれている良著。アマゾンのレビューとか見ると、ファッション史でもあるけど、戦後の日本史そのものだったりするみたい。文化というものにファッションは密接に関わってるので、たしかにファションを見れば時代も見えてくる。

先生がオススメしてた本もついでに紹介。

“複雑なタイトルをここに”

AMETORA(アメトラ) 日本がアメリカンスタイルを救った物語 日本人はどのようにメンズファッション文化を創造したのか?

面白いファッション雑誌

さて、雑誌について。ファッション領域だって編集長が文章にこだわりある人のはおもしろい。マガジンハウスがおすすめ。中島敏子編中長時代(2011-2018)のギンザは特集の作り方やタイトルが秀逸で最高らしい。ちょっと過去に遡ってみてみるといいかもしれない。なんとなくファッション系の雑誌で新しいの読まないと意味ないとなんか思っちゃうけど、例えば古着とか昔の流行取り入れたりとかいろいろ自分の好み違うこと考えれば昔のファッション雑誌みて見るの面白いかもしれない。

で、忖度とか関係ないインディペンデント雑誌も登場してる。ファッションだけにとどまらずタブーに切り込んだり、僕も陰ながら応援してるハイアーマガジンが題材に。haru.さんにはおもしろく活躍してほしい。

曖昧さが大事なんじゃないか

先生が取材するときについて軽く話されてた。主観的なものもあるが、この人の特徴は何か?この人にしかできないものは何か?そんなことを考えてる。インタビューを行うときも、書き手としての目線で話を聞いていくことも重要。その通り。

編集するときパズルを埋めるような気持ちも大切。全体のバランス、しめるところなど読み手を意識する。いろんな人のインタビュー集める時など、この人入れたら、じゃあこの人欲しいなという感じ。

ファッションも哲学やアート、建築、食、文学など異なるジャンルからアプローチすることで見えてくるものがある。ファッションはいろんなものとの親和性がある。異なるジャンルとのコラボはよい。

この辺りはファッションに限らず、なんでもそう。最近よく考えるのはフリーになって随分と垣根が曖昧になったなと思う。今までは仕事というと仕事でしたけど、今は仕事なんだけど生きるという感じだし。それでいくと食べることも生きることだし。食べて健康でいないと「仕事」もできないわけで。じゃあ食べるってことも「仕事」か?みたいなことになる。

垣根や線引きは便利だけど、面白みが限定的になることも否定できない側面があっる。で、それが悪い方向に作用すれば差別とかになったりもするわけで、面倒になったりうまくいかないところもあるとは思うけど、それでももっと全てが曖昧に有機的に繋がってるような世界になればよいのにとか、ファッションから遠いところで着地した。

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