銀閣寺の銀沙灘と向月台は時代を超えたモダンアート

先日久しぶりに時間があったので、一人で京都をぶらついていました。実家(和歌山)にいる時はいつでもいける距離だったのに(そんな近くもなかったけれど)距離が離れてからからは行きたくなったりするんですよね。お寺や神社、自然に仏像、、、こうしたものに興味を持つようになたということは大人になったということでしょうか?

さて、今回行ってきたのはわりとメジャーどころです。その中でも銀閣寺に焦点をあてて紹介します。少しずつ木々も赤や黄色に色づいてきていて、紅葉のシーズンに入ってきたなあという印象でした。天候はあいにくの雨で、日中はうーんという感じでしたが、夜は町を彩ってくれるので、まあ五分五分というところでしょうか。
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雨露に沈むもみじも何となく風情がある。雨も良いもんです。

銀閣寺の銀沙灘と向月台

さて、今回の京都の散策の目的は2つ。その1つは銀閣寺でした。
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銀閣寺についてはこちら 東山慈照寺

京都の市バスでは5,17,特17,203番系統で「銀閣寺道」もしくは「銀閣寺前」で下車。
こちらに詳しく書いていましたので参考に。

と言っても銀閣寺そのものではなく、その庭園、銀沙灘(ぎんしゃだん)と向月台(こうげつだい)です。以前岡本太郎の「日本の伝統」という本を読んだ際に、この銀沙灘こそ日本庭園の穴だという表現をしていたことから、僕もこれらに興味を持ちました。小学生の頃の修学旅行でも来ているはずですが、なんとも記憶に残ってなくて、しかもそんな説明を受けているわけもなく、寺とかどーでもええわくらいにしか思ってない完全なバチあたりでしたから。今、あの頃の僕に何か声をかけられるとしたら、こう言ってやりますよ「まあ、その年ならそうだろうね」と。
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銀閣寺。金閣寺よりもこちら派、質素な感じがして好き。

今は少しずつ薄れつつあると思いますが、日本の美意識の観点でいきますと、「わびさび」や、「奥ゆかしさ」といった何度も頭をこねくり回してようやく理解できるといった深みのようなものが評価される傾向にありますよね。こうした庭園に限ってのことではなく、人間性だったり気遣いだったりと。表にあからさまに出すのは美としては認められない、つまり美しくない、見せずに察することができるように慎ましく、また耐え忍び我慢をして、それすらも見せず・・・といった具合です。
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銀沙灘と奥に見える分銅みたいなのが向月台

確かにその観点でいくとこの銀沙灘、向月台はまるでそのまま。現代美術として分析するほうが近いかもしれません。なんせ、「どのあたりが?」とかではなくて、いきなり、「そのままがどーん」と目に飛び込んでくるんですから。古風であり伝統を重んじる京都において、このように芸術と呼べるかどうかも判別がつかない存在が暴力性をもって主張してくるというのはやっぱり面白い、見に来てよかった。

いろんな理由から京都に幻滅していた岡本太郎も書籍の中でこの銀沙灘と向月台についてはかなり注目していて、「モダンアートと捉えるなら不思議ではないが、しかしながら伝統の中にありそれを現代的美意識で見る事ができる」というような表現をしていて、かなりの喜びを感じているようです。

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後ろの景色との対比は圧倒的な違和感ですね。どんな感性なんだ。

単品で見れば、それはそれで作品と見れますけど、あくまで庭園であって、周りの自然と寺そのものとのバランスが大切なのは考えなくとも分かりそうなところですが、やっぱり全体を一つとして見た時には、うーん確かに浮いて見えます。これがよしとされた背景には誰のどのような権力とセンスがあったんでしょう。実に興味深いですね。(ちなみにこの銀沙灘、正確にはいつの時代にこの形状に落ち着いたかはわからないとか)

色づき始めた紅葉

さて、もうひとつの目的は、このシーズンなので紅葉です。銀閣寺も紅葉はとてもきれいでした、でもまだまだこれからといったところですかね。色づき始めでまだまだ緑が多い印象、これが一面黄色や紅くなるとさぞ綺麗なことでしょうね。
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山の上から見た銀閣寺。地味めな銀閣寺ですが、それが故に自然に彩られてなんとも気持ち良く調和された風景美

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紅葉を下から見上げてみると光が透けて見えて美しいです(上から見るのもいいですが、下からも見上げるとまた違った美しさがそこにあります)

しっとりと見れるのは雨の日の特権ですね。そして一人でじっくり自分自身と対話しながら見て回るのも、やはりいいもんです。せっかくなので、雨の京都もいいなあと思ってもらえるような写真も次回アップしておくことにします。

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