熊野古道巡礼(中辺路)12日目:近露王子(牛馬童子口バス停)ー湯川王子(赤城越分岐点)
歩行距離1:17.9km(牛馬童子口バス停ー赤城越分岐点:和歌山県街道マップ参考)
歩行距離2:8km(赤城越分岐点ー湯ノ峰温泉:和歌山県街道マップ参考)
本日の王子:近露王子、比曽原王子、継桜王子、中川王子、小広王子、熊瀬川王子、(岩神王子)、湯川王子
※岩神王子は地滑りで通行止めのため行けず
中辺路のシンボル牛馬童子に朝のご挨拶
午前中は晴れ予報。昨日は少し計画していた工程から遅れてしまったので、今日は発心門王子まで行く予定。(発心門王子まで行けば本宮大社まではもうすぐ!)重い荷物は昨日泊まったゲストハウスに置いてきたので、今日はスイスイと歩ける。地図上では、昨日よりも標高差はない。(といってもまあ、山道なのであるのだけど)
まずは歩き出す前に昨日、最後に立ち寄った道の駅で本日のお昼ご飯を購入。昨日の段階で道の駅のおばちゃんと少しお話しして、お弁当の情報をもらっていた。ということで美味しそうなお弁当をゲットできたので安心して出発。
ちなみに今日降りたバス停の名前が牛馬童子口なのだけども、この牛馬童子さんどうやら中辺路のシンボルらしい。そして過去に頭部損壊事件があったらしい、気の毒。ということで可愛らしいシンボルにご挨拶して先に進んでいく。

今日は晴れてるので、歩きやすい、晴れた朝はだいたい気分よし。

りりしい牛馬先輩(花山法皇らしい)。牛と馬の両方に乗ってる、歩きにくくなかったのか。
途中、山の中を犬と散歩しているおばちゃんとすれ違う。こんな山の道で犬の散歩だなんて聞いたことない。結構アップダウンもあるので、毎日こんな散歩しているとなれば、おばちゃんの健康にも良さそうですな。多分負けてるだろうな、足腰。
さて、今日は荷物も最小限だし天候もいいってことで、わりとスムーズに近露というエリアまできた。最初は天候が良かったのだけどもこのエリア霧が立ち込めてる。昨日は霧の里だったし、ここは露という字がはいってる。水をもじったエリアが続くんですね。確かに湿度もあるし、地名が気候や景色とあってる印象。
予報によれば、今日はお昼から雨が降りそうらしいので、できるだけ午前中に頑張って距離を稼いでおきたい。もちろん山の中なので、雨は降るものとは思ってるし、雨の中でも歩く気概はあるのだけども、やっぱり雨が降るとペースも落ちちゃうし、テンションが下がっちゃう。てことですいすい行けるうちはいっちゃいたい、昨日に比べればだいぶ道は楽なわけだしねえ。

霧が立ち込めてる田園風景っていうのは雰囲気あるな。

民家ゾーン。この辺りは民宿も割とある、歩くルート沿いにあると便利で良い
近露王子の佇まいがかっこいい
近露王子はこれまで多くの王子を見てきたけども、その中でもビジュアル的にとてもカッコよかったと思う。ロケーションも日当たりも良くて最高。王子の筆跡に関しては大本教主出口王仁三郎の筆によるものらしい。この人は新興宗教「大本」の二大教祖の一人ということで、宗教弾圧にあった際にこの石碑も壊されそうになったらしいけども、そのときこの字を書いてくれと頼んだ近野村長横矢球男さんが上手いことやってどうやら残ったらしい、出口王仁三郎の書いたものはいくつかあったが取り壊しにあい、今はここしか残っていないらしい。

近露王子、かなりビジュアル的に洗練されてる。文字もかっこいいな。

近露王子の筆跡について

最初はアスファルトいやだったけど、もはや今となっては歩きやすくて嬉しい。民家を抜けてまた山に入ってく。
今日は民家の間を通って行くことが多い。気温も高く、冬とは思えない。18度位あった。湿度も割とあるので朝からかなり汗をかいている。民家のある集落をぬけて比曽原王子を目指してまた山へ入っていきます。この辺も熊出没注意とか書いてるから緊張するんですよね、ビビらさんで欲しいけども、注意は必要ですからね。
民宿やゲストハウスはエリアごとでちょこちょこっとあるのだけども、結構高級なんですよね、じゃさくっと泊まるかっていう金額じゃないからなー普通にいいホテルくらいの費用がかかるところが多い。まあ立地考えたら仕方ないのか。あるだけありがたいもんなあ。しかし僕みたいに長期で歩いてるとやっぱり宿泊費は一番抑えたいところ。次回一泊とかで歩きたいところだけ歩くみたいな時は、ぜひとも豪遊したい。

一本道だし道標があって、このあたりは進むにはわかりやすい。

でた。熊出没注意の看板。

熊いてもおかしくないよなー。会いたくねえ

民宿やゲストハウスはエリアごとでちょこちょこっとある
継桜王子神社のプレッシャーに圧倒される
比曽原王子をすぎて、その次の継桜王子。ここには神社があるのだけども、そこがまたどえらい巨木が立っていたんですよ。こんなに迫力ある神社ある?みたいなくらいの巨木。縦で写真撮っても全く入りきらない。どんだけ広角のレンズいるんだっているくらい巨木!こんな巨木が鎮座する神社ってどんな?ってなったけどもちょっと時間の関係で神社の中までは行かなかった。

見晴らしよし。山の説明あった。

比曽原王子。控えめ。

継桜王子の神社、どえらい巨木。やばい迫力。

継桜王子の碑は控えめ。
天気予報は昼過ぎから雨だったのに、午前中からもう降ってきましたよ。まじ山の天気ー変わりやすすぎるんよ、いい方に変わってくれよーと思うのは僕だけではないはず。調子よく歩いてたのになーこれ朝の暗さじゃない。
雨嫌だ嫌だとおもていたら掲示板みたいなところに「ヤマビル注意」のおしらせ。まじ勘弁。雨降ってこられても嫌なのに、歩いてて上からヒル降ってこられたら発狂するわ。もっといいお知らせ欲しいのよ〜熊とかヒルとかばっかりやん。「頑張ったあなたに生ビール無料」とかないんかね?ないですよね。

はい、天気悪くなってきたー

ヤマビル。まじ?いらなすぎる。木の上から落ちてくるとか聞いたけど、発狂するわ
あたりは暗くなってくるし、携帯の電波も無くなってるし、僕には何が残ってるというのだろうかしら。あ、そうだお昼ご飯に買ったお弁当が残ってたわ。雨を凌げるところ見つけたらランチタイムにしよう。土砂降りにはなってくれるなよ〜。

もう地面湿ってるよ、この辺は既に降ってたんかな。

控えめな王子が続くね、中川王子。この辺りはもう電波ないのよね

さらに控えめな王子が続く。小雨模様の小広王子。
道の駅で買った「あゆのひつまぶし」がうまい!
なかなか雨を凌げるところがなくて、お腹の中が空っぽになってエネルギーがなくなって寒くなってきた(朝ごはんはきちんと食べたんですけどね、やっぱり歩いたらお腹はへる!)。ようやく屋根のある休憩所をみつけたので、これから雨が本格的に降る前にお昼ご飯を食べることにする。山の中で一人で雨がしんしんと降ってるので、ちょっと心細い。
ちなみにお昼ご飯は「あゆのひつまぶし」と、この辺では有名な「めはり寿司」を選んでみた。あゆのひつまぶしって食べたことなかったけどとてもうまかたですよ、もちろんめはり寿司も。ちなみにめはり寿司の名前の由来は、「目を張るように口を開ける」「目を見張るほどに美味い」とか、「おにぎりに目張りするように包むから」みたいな説があるらしい。自分的には目を張るように口を開けるがそれっぽいかなと思う。

あゆのひつまぶしとめはり寿司が入ったお弁当。小さめだったので2個買っていた。

あゆのひつまぶし!食べたことないけどとてもうまかた。
山を登っていて思うのは上りの時はしんどくて嫌なんだけど、しんどいだけなんですよね。でも降りってほんと滑って転びそうになる(山は雨が多いからね)、怪我する危険性あるから危ない。しかしどうせまた登んのやから下がらんといてほしいってめっちゃ思う。まあね、山やから仕方ないけども。

ひたすら登っては下り、また登って下る。ルーティン。

熊瀬川王子。このあたりの王子はわりと簡素な感じなものが続く

なにこれ。エイリアンでも出てきそうな雰囲気。自然のパワー恐るべし
岩神王子は土砂崩れで通行止めだった。そりゃたまには土砂も崩れますよね。今のこの道もずっとあるわけではないということでもあるな。ということで迂回ルートで進むことになるのだけども、その迂回ルートもまあけっこう勾配がきつい。そして大嫌いな崖仕様。優しい目のルートを期待していたのに残念だわ。悔しいほどに景色が見渡せるよ、結構登ってきたのねえ。

岩神王子は土砂崩れで通行止め。

迂回ルートでこれかよお。崖きらいって言ってるのに。

めっちゃ登らさせられた。
湯川王子の湯川は、室町時代に勢力を誇っていた湯川氏の里なのだとか、近所に湯川の墓もあった。当時はかなり栄えていたらしいけども今は見る影もなかった。神社だけの山だった。

川が流れてるところに来ると空気感が変わる。少しひんやりした感じ。

川があるところには橋ありますわな。ちょっとドキドキする。

湯川王子。室町時代に和歌山で名を馳せてたらしい湯川氏の生まれの里なのだとか。

こういう地域だと亡霊とか出てきそうですね。
湯峯までの赤城越え!暗闇の山の中を突き進む
さて、現在15時位。目的地の発心門王子には16時半くらいの予定。疲れはあったけども比較的すいすい行ってるつもりでここまできた。のだけど、どうやら発心門王子まで行っても既にそこからの帰りのバスがないらしい。(電波がぎり1本入ったときにようやく確認できたのだけども、)バスは14時台で終わっているのだとか!まじか完全にしくじった。14時とかもう惜しいとかそういう問題でなくポンコツすぎる事前リサーチ。
目的地についてもバスに乗れない、宿に帰れない。タクシーがいるかもわからない。歩けば何時間かかるかもわからない(電波がなくてスムーズに調べることもできなくってかなり焦る)、迷いながら歩いている時ににゲストハウスのある湯ノ峰温泉までつながる、「赤城越え」という峠を越えるルートの分岐点に差し掛かったので、そちらを選択することにした。こういうとき直感って大事ですよね。
ただ、既にこの時、時刻が16時前。地図によると赤城越えは距離8km、目安時間は3-4時間。あと1時間で暗くなるので、真っ暗な山の中を歩かなければならない。できるだけ暗闇を歩く時間を減らすために前半勝負で、早足で山を登っていく。ここからは覚悟を決めてタイムアタック!疲れた体に鞭打うちますしかない!

暗くて写りが悪くなってきてる

スマホは解像度勝手に設定してくれるから割と綺麗、とか考えてる余裕なかったけど、一応記録残したくて焦りながら撮った。
振り返ってみれば、かなり疲れていたのにね、火事場の馬鹿力ってのはほんとに出るらしい。今回の旅で初めてライトを装着して、ほぼ暗闇の山の中を滑りながらも半ば走りつつ、ざっくり90分程度で越えることができた。ほんとに真っ暗になったらまじで何も見えない、もう食べ物も水もないし、こんなところを一人であるくやだーっっってことで思っていた以上の力が出ましたかね。
暗い山で1人というのは、ほんとに孤独なものですね。そういう経験は初めてだったのでかなり心細かった。そんな中で暗闇の中で町からのチャイムの音が聞こえた時、民家の明かりが見えてきた時は本当に嬉しかった。

町の明かりが見えた時にはマジでうれしかった、この旅で一番嬉しかった。
かなり疲れていたけれど、人間切羽詰まればやれるんですね。考え方も変わるというか、これまでは例えば下りは、滑らないように降りるためにゆっくり進んでいたけども、滑るの前提で滑った時に対応できるように心構えしておくみたいな考え方に変わったり。「いけるだろう」「あるだろう」と、希望的観測に基づいた計画は計画とは言わんですね(そりゃそうか)、ほんと山はなめてはいけない。これからはちゃんと下調べしてルート決めないと思った日でした。
お宿について、温泉につかってご飯を食べるときに、スペイン巡礼経験者と、長野県飯田市に住むご夫婦と会った。いろいろお話ししながら食事ができて楽しかった。終わりよければ全て良しということにしておきたいと思います。明日はちゃんと計画して頑張るぞう!!
【熊野古道(紀伊路・中辺路)2週間280kmの歩き旅】
2023年12月4日から約2週間、熊野古道を280km歩いて旅をしました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、熊野古道巡礼(熊野詣)に関する事前知識や宿泊情報、費用、日々の記録などをまとめています。熊野古道のリアルな情報にご興味ありましたらぜひご覧ください。
