熊野古道巡礼(中辺路)11日目:不寝王子(滝尻バス停)ー大阪本王子(牛馬童子口バス停)
歩行距離:11.8km(和歌山県街道マップ参考)
本日の王子:不寝王子、大門王子、十丈王子、大坂本王子
雨で荷物はきつい!開始5分で帰りたくなる不寝王子までの道のり
今日から紀伊田辺の宿から湯ノ峰道温泉の宿に移るため、荷物を持っての移動(昨日までは同じ宿を取っていたので、荷物はその宿に置いて歩く時は身軽で行動できたんだけども、宿を移る時は持っていかなきゃですからね、今日からは2日間同じ宿なので今日だけの我慢!)。
そして荷物も重いのに、あいにくすぎる雨。地図によると今日は初っ端から一気に標高400mまで登るらしい。これがかなりしんどい。ここまでも観光ルートと思って舐めていたのだけども、今日はこれまでで一番洗礼を食らうことになるのだけど、まだこの時は当然知らない。
滝尻王子の裏はもう完全な山。山っぽい登り道とかではなく、ちゃんと山。初っ端から一生登らせてこようとする。正直この山に雨で重い荷物。最初の5分で引き返そうかと思ったくらいちゃんと後悔した。山が急で、今日こそ連泊期間にして宿に荷物をおいて登るべきだったわあ。もう一泊田辺に泊まっておくべきだった。と言っても、もう来てしまったものは仕方ない。
そし道があるようでないようで、やっぱり道って感じで、どこを歩けばいいかわからんのよ、とりあえず上に向かって歩いていけばいいんでしょうっていうことで、思考を放棄して上へ上へ向かって足を前に出していく。
雨なので足元に気を付けつつ少しずつ山を登っていく。もはや古道歩きではなく単なる雨の山登り。山の上から雨が滝のように流れてきていて、歩こうとするコースが全て水たまりになっていく。道に穴が空いているのかどうかもわかんない。
登っていく途中で王子がある、今日の一発目の不寝王子にやっと到着。雨も降って霧も出てきてるのし、何より荷物を置いたらやる気が戻ってこない気がするので、休憩することもなく先を急いでいく。
雨の中辺路エリアは薄暗くて不気味な雰囲気
雨雲だし木がすごい生えてるので、光があんまり入って来なくていつもよりかなり暗い。朝なのに夕方過ぎた感じで、ちょっと不気味な雰囲気。何か出てきそうやん。いやですわ!
木の影は人間に見えたり、でかいのは熊に見えたりする(かなり意識しすぎ)ので、ちょっと曲がり角でそれっぽい木や岩があるとビクッとする。暗い山で1人だと心細いのよねー。今までの道のありがたかったことよ。
ただ、登りからフラットな道に変わると少しだけ余裕も出てくる。あたりを見回してみると、生茂った木々の葉に雨が溜まっていたり、このエリアからよく見られるようになった苔っぽい植物も青々としていて。そうすると熊野の雰囲気は雨の方が似合うのかも?これが通常運転かも?などと思えるような感覚も生まれてくる。少しだけ周りを見る余裕が生まれてきたのかもしれない、平たい道大好きだわー。
当然雨は嫌だったけど雨がある方が、このエリアは自然な感じもするなあ。などと思ってみる。(後々振り返ってみると、雨を正当化したかったからこんなこと思うようになったのかもしれないけども笑)どっちか選んでいいよって言われたら、本音は当然天気のいいタイミングで歩きたかったよね。
霧の里の風景はやっぱり霧
途中から何も考えられずに、無の状態でひたすら雨の中を登ってく。ほんと、ずっとはあはあいってる。寒いのか暑いのかもよくわからない、霧も濃くなっていくし。メガネも雨粒ついているし、曇って見えづらいし、視界最悪。誰も歩いている人がいないので、ひたすら自分が歩く音と、雨の音だけが耳に入ってくる。
息は絶え絶えだけども、ようやく頂上の展望台まで辿り着く。晴れていれば綺麗だろうなあと思いつつも、霧の里っていうエリアなくらいだからこれが標準か。これでまだ標高400mくらいらしい。400mって結構高いんですねー今更。
休憩所があるので、そこでお昼ご飯(歩くための栄養)をかきこむ。朝くる前に紀伊田辺の駅前のコンビニでおにぎり買っていたんですよ。食べたら力出るし、おにぎり分荷物が軽くなって嬉しい。朝出る時が大体荷物って一番重いんですよね。
雨が降ってると木の根っことか岩が滑りやすい。なるべく土や小石とかを踏んで歩かないとすぐ転びそうになる。葉っぱも滑りやすいけどまぁまだマシ。荷物重くてバランス悪いし、何度も滑った。滑るたびに冷や汗出るんですわ。きょうはもうびちゃびちゃなので何汗でも出れば良いのだけど、怪我したら元子も子もないので、注意しないと。
今日は後半、初めて歩いている人を見かけた。韓国人グループ1組と日本人1人。この旅で歩いてる姿を見るの初めてだわ。ちゃんと歩く人いたんだー熊野古道。ちょっと安心したわ笑
しかし怖い立て看板を発見、親切なのだけども怖さが勝る。ここから先連絡が取れない区間が4時間続きますってさ。民家も1つもないらしい。マジで?当然電波もないのだから、何がなんでも歩き切らなきゃだわ。行けるペースだけどもちょっとビビるやん。
しかし、ほんとに昔の人はすごいよ。トレッキングシューズもゴアテックスもない時代ですからね。道も今以上に整備されていないんでしょ?ほんとよく歩いていたと思うよね。しかも毎年歩いてる上皇いらっしゃったし。現代人はやはり軟弱になっちゃったのかしらね。
そうこうしていると、雨が上がって少し陽がさしてきたらまたこれが雰囲気がいいじゃないですか。雨粒が陽に反射して少し幻想的な雰囲気醸し出してくる。
しかし登り道は嫌だけども、もっと嫌なのは歩く道が細いところね。隣が崖というオプション付いてくるところはほんと嫌い。さらに石とか葉っぱとかの滑りやすい素材で敷き詰められてる道はほんと大嫌い。
これみんな歩くの?知らずにきた人ほんとにびっくりしちゃうよ?って道を歩かされる。完璧に大嫌いの詰め合わせ古道も出現して、観光気分で歩こうとしている人(僕)の心を挫いてくる。もはや王子を見つけても写真をゆっくりと撮る気力もなくやっつけでとっていたんだなってのが、帰って確認した時によくわかる笑
今日は早めに切り上げる決断をする
今日は継桜王子(大坂本王子から6キロ先)までと思っていたんですけも、体も疲弊しているし時間もかなり中途半端な時間になっている。ちょうど今いる山を降りたところに道の駅(飲み物やご飯を置いている)とバス停があったんで、今日は無理せずここまでとした。(明日もここから歩くなら、道の駅でお昼ご飯を仕入れて歩くことができるのでその点でも良いなと判断)
バス停に着く頃には雨も止み、道の駅もあった。終わると決めたら随分と気持ちも楽になって道の駅を物色。今日はほんとに疲れたなあということで、売っていたビールでひと足先に店じまい、1人で今日の頑張りを祝福しときました。
ビールってこんなに美味いんだっけ?今CMでれるくらいにいい顔して飲んでいる。疲れた心と体にスーパードライですわ!
いやーしかし今日は12kmほどしか歩いてないのだが、疲労感がすごい。30km歩いた時より疲れてる。山登りの時の距離ってアテにならんですね。
ということでここからは今日予約しているゲストハウスのある湯ノ峰温泉までバスで向かいます。温泉があるということなので、これには期待。まじで体を温めたい。休めたい。今までで一番疲弊した1日となりました、本日もお疲れ様でした。
【熊野古道(紀伊路・中辺路)2週間280kmの歩き旅】
2023年12月4日から約2週間、熊野古道を280km歩いて旅をしました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、熊野古道巡礼(熊野詣)に関する事前知識や宿泊情報、費用、日々の記録などをまとめています。熊野古道のリアルな情報にご興味ありましたらぜひご覧ください。