熊野古道巡礼(中辺路)14日目:熊野速玉大社(速玉大社バス停)ー佐野王子(紀伊佐野駅)
歩行距離:10.3km(和歌山県街道マップ参考)
本日の王子:熊野速玉大社、阿須賀王子、浜王子、佐野王子
熊野速玉大社まではバスで移動
さて、12月4日からスタートしましたこの熊野古道巡礼、大阪の天満橋付近から歩き始めまして、昨日でめでたく本宮大社に到着!約250kmようやく歩き切りまして、今日明日であと残りの二つの山へという計画でこの日の朝を迎えております(なんかの実況みたいだな)。昨日の日中まで、今日は小雲取越、明日に大雲取越という峠ルートを通って、那智大社、そして最後に熊野速玉大社を目指すという経路を考えていたのですが、この日泊まる宿泊場所の予約をしくじりまして、峠を歩くのが現実的ではないとなってしまいました。
ということで、再度検索。便利の良かったルートに切り替えまして、ここは申し訳ないのだけども文明の利器(バス)を使って、熊野速玉大社まで移動して、そこから那智大社を目指すというルートに変更しました。
ということで、最初は計画しくじったなあとか思ったりしたけども、バスに乗ったら乗ったで、見える景色はずっと綺麗で「歩かずにこんな景色見れるの最高ー!」と素直に乗り物に感謝。やっぱりバス早いですねーーーー!
さて、バスに揺られて速玉大社のある新宮市に到着しました。今日の朝まで泊まっていたゲストハウスのある湯ノ峰温泉からは約1時間(時間帯によって直通バスがある)の距離。この新宮市には大学生の頃に研究のお手伝いで何度か来たことがあった。ちょっと懐かしい、懐古的散歩って感じであんまり巡礼感がない。当時食べさせてもらっていた老舗の鰻屋さん鹿六の近所も通ったので、ランチにでも寄りたいなあと覗いてみたのだけども残念ながら定休日だったよう。くう、また来なきゃ。
速玉大社は平日の朝だったからか、ほとんど人がいなくてとても静か。ゆっくりご挨拶できた。天気も良くて、朱色が映えて綺麗。こう鳥居に木漏れ日の映る塩梅がなんともいえない感じありますね。朱色って神社のためにある色だと思わされますね(あー余談だけども首里城とかもそんな色ですね、やっぱり日本、アジアとかそういう印象あるですね。)。雨じゃなくてよかった〜神社巡るのは天気いい時が一番ですな。なんかすんっっとしている感じで空気感がよかった。昨日行った本宮大社とはまた違った空気感あるですね、神社って不思議。
歴代の天皇、法皇の熊野御幸が記されたモニュメントもあった。みなさま何回も熊野へこの旅路を歩いてるんですよね、私はもうこの1回で十分です。(あ、でも鹿六のウナギ食べないとだからまた来なきゃなんだった)
しかし当時のお偉いさんの巡礼は国家事業って言っても良いものだったそう。1回でもかなりの人数引き連れて歩いていたらしいから、めちゃくちゃお金もかかったんでしょうな。そして1年の間で少なくても往復で1ヶ月かかるんですからね、政治とかどうしてたんだろうか。ま、この当時は仏の功徳を得るってことが国家の存亡にも大きな影響あったんでしょうから、これも大事なイベントだったのでしょうね。
最後の那智大社に向けて出発!見渡す限りの水平線、海沿い熊野古道
よくよく地図をチェックしてみると意外と嫌な感じで速玉大社から那智大社までは距離がある、2日かけると短いけど、1日では結構しんどい。ということで迷わず2日間かけて行くことを選択。もし1日で歩くんなら、早朝から出発しないと那智大社に着くのはかなり遅くなる。こちらも王子があるので、ちゃんと巡らないといけませんし、ここぞというお店見つけたらランチ堪能しないといけませんからね。
ちなみに速玉大社から那智大社までは約22kmなんだけど那智大社はかなり山の上にあって、最後にものすごい階段登らないかんのですよ。(最後にあの階段はかなりエグい!実は学生の頃に1回登ったことある、足が震えたような)。昨日しくじって予約した宿が、ちょうどこの速玉大社と那智大社の工程の真ん中くらいにあったのでね、これはもう無理せず2日に分けて歩くのが吉。
ということで、改めて今日歩くのは新宮市。海沿いでむしろ三重県の方が近い、和歌山市からもかなり遠いエリアですわ。今までの中辺路はずっと山の中を歩いていたので、街中の今日はちょっとこれまでの王子と雰囲気が違う。王子のみポツンとあった昨日までとは違って、神社の中に設置されていたりするところが多い模様。
さて、速玉大社から阿須賀王子を巡ってとしているとそろそろお昼の時間ですわ。いままで山の中を歩いていたので、魚が食べたいぞ!そしてこの辺はサンマの姿寿司が有名なんだぞ!っていう情報を仕入れていたのでランチはお寿司に決定(昨日も食べたやろという)。ということで新宮駅の駅前の徐福寿司というお店に入った。
さんまが丸ごと1尾使った押し寿司を注文。醤油をつけずに食べるよう。きちんと塩味がついてるので確かに醤油はいらんな、そしてこちらのお店ではガリじゃなくて紅生姜スタイルでお寿司を食べるようだ。新しいですわ、でも郷土料理なので古いんですよね。でも結構アクセントになっていい組み合わせかも。ちなみに全国発送してくれるらしいですよ!
お店の人と話していると、この辺りの方言は和歌山弁というよりもなんとなく中国地方と近い気がした。もっとゆっくりしていたかったけども、まだ歩かなきゃならんということで根っこが生えてしまう前にお店を出まして、今日の続きを歩き出します。2つ目の王子は浜王子。なんか海の近くっていう名前の王子ですな。昨日までのエリアとは別ってことが伺える。
新宮は紀伊半島の最南端に近い地域。今日の道は海を眺めながら歩くので清々しい、風は強いけども。海にいそうな鳥が頭の上をすいすい飛んでいる。紀伊路の後半、紀伊田辺への道も海沿いを歩いていたけども、新宮エリアは本当に、THE太平洋って感じの海で見渡す限りの水平線。これだけ海近いと夜ご飯も楽しみだわ。(今日は高専時代の友人とディナーする予定なので)
高野坂でちょうど良いキツさを求める都合のいい人間
海沿いは基本的には車が通る平地を歩いてて、ただただ普通の気持ちのいい散歩って感じだった。途中「高野坂」っていう道があって、そこが熊野古道ということになってるのだけども、ここが昨日まで歩いてきていた中辺路っぽい道仕様で、ちゃんと勾配のある山道となっております。
アスファルトの平地は歩きやすくていいんだが、熊野古道歩いてる実感はちょっと薄くなる。キツすぎるのはやなんだけど、ちょっとした登りは運動にもなってちょうどよい。これまでの経験から地図の勾配見れば、だいたいしんどさが見えてくるので、「これこれ!こういうのよ!」ってな感じになりまして、自分の都合のよさと若干のMっ気を感じずにはいられない。
苦行と信仰における納得の関係性
歩いていてふと思う。しんどくないと歩いてる意味がない、辛さに耐えてこその熊野古道!みたいな感覚って自分だけですかねえ。苦行でないと功徳を得られない。そういう感覚が少なからずあるんかもしれない。なんというか昔気質な、ブラック企業みたいな。時間・労力かけたら偉いという。合理的ではない考え方。そういうのがあるのかもなあと、これって自分だけ?それとも日本人にはありがちなの?
仕事では随分と合理的にはなってきていると思うけども、こういう原始的なそして宗教的な行いをしているとある程度の負荷をかけないと見返りというか納得というか、そういうものを感じられないのよなー、という、、、坂道登りながらふと思ったのだけども、このテーマが今回の旅で体感した最も本質的な気づきであり、そして問いである気がするな。苦行と信仰における納得の関係性というか。ふむ、興味深い。
緑に囲まれた道という意味では本宮大社に向かっていた道と同じだけども、なにか昨日までの道とは雰囲気が違う気がするんよな。こちらの方が清々しいような気がしたな。やっぱり山に囲まれた鬱蒼とした地域と違って、こちらは海の真横を通ってる道だもんね。山より海派な自分の感性なのかもしれませんな。
高野坂を通り抜けて、またアスファルトの道に戻ってきた。熊野古道の案内板があるのだけど、どれも薄くなりすぎ、見えんくなる一歩手前。この辺りは住宅街みたいなところを通っていくので道がわかりづらい。案内板頼りなのに笑
途中公園でゲートボールしている先輩方を横目に本日最後の佐野王子を目指すためにひたすら国道を歩いていく。
和歌山最大の地元スーパーチェーンのオークワさん。そのスーパーの更にでっかい版スーパーセンターオークワのすぐ隣の敷地に佐野王子があるってことで、分かりやすくオークワを目指して歩く。スーパーセンターなだけあって、ここのオークワめちゃくちゃでかい。飲食店は当然として紳士服に電気屋に映画館にゲームセンターまである。日々の生活ここで完結できちゃうなとか思ってトボトボ歩いていたら、ほんとにオークワの横の区画に佐野王子が鎮座してる。台座まで用意されている。車めっちゃ飛ばしてる道沿いにあった。
さてさて、オークワ王子で少し休憩。まだ明るくて体力も結構残ってるのだけども、これ以上歩くと中途半端になっちゃいそうだし、今日はここから歩いて2、30分くらいところに宿を取っているので、少し早いけどこれで終了しようと思う。
明日はラストの那智大社ということで、美味しいものを食べて英気を養うこととします。今日は高専の時のクラスメイトがこの辺に住んでるってことで夜ご飯を案内してもらう。毎日毎日英気養いすぎではある。楽しみだ。
【熊野古道(紀伊路・中辺路)2週間280kmの歩き旅】
2023年12月4日から約2週間、熊野古道を280km歩いて旅をしました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、熊野古道巡礼(熊野詣)に関する事前知識や宿泊情報、費用、日々の記録などをまとめています。熊野古道のリアルな情報にご興味ありましたらぜひご覧ください。