熊野古道巡礼(紀伊路)ブログ6日目:祓戸王子(海南駅)ー山口王子(紀伊宮原駅)
歩行距離:14.4km(和歌山県街道マップ参考)
本日の王子:祓戸王子、藤代王子、藤白塔下王子、橘本王子、所坂王子、一壷王子、蕪坂塔下王子、山口王子
急に熊野古道感を出してくる海南市
本日は海南駅からスタート。このあたりも割と見慣れた景色。「晴れてて気持ちいい日ー!」とか思いつつ、今日もゆるりと歩こうかなという気持ちでいましたが、一発目の祓戸王子から完全になめてたことを後悔しました。
昨日まではアスファルト形式で平坦な道が多くって、海南も割と大きな市だし昨日とそんなに変わんないかなーみたいな認識だったので、今日もどうせと思ってスニーカーを履いていたら、いきなり「え、ここ入っていくの?」みたいな先が見えない普通の山の中に入っていくじゃないですか。
でもまあやっと本格的熊野古道感がでてきたので、気分はちょっと嬉しい(このあとすぐそんな余裕はなくなるのだけども)
ということで、一発目の祓戸王子につくまではスニーカーで頑張って、そこからは念の為と思ってリュックに突っ込んでいたトレッキングシューズに履き替えました、ついでにステッキを出して完全山歩き用の装備で臨むことにしました、せっかくあるのだし使わなきゃ損ですしね。
なかなか今までにない雰囲気のある王子でしたね、この辺から急に熊野古道らしくなるっぽいみたい。ついに熊野古道の本気が見れる予感。
今日は事前の計画では峠を3つ越える予定なのですけども、ですがこんな山道ばっかりだと、予定していた距離は稼げないかも?と、開始早々へこたれ気味。いや思っていたよりも断然山だったもので!予定ではここはこんなに山ではなかった笑(結局、この予感は正しくて、その通りになってこの日は峠2つしか越えられなかった、甘く見ちゃダメですねえ)
熊野三山の入口!藤白神社!
お次は藤白王子のある藤白神社。こちらは、熊野への入口という風に言われているらしい。ここまでの道とこれからの道が今までの道と圧倒的に険しくなるということで、古の参詣者もここ藤白神社で英気を養ったらしい。「明日から本気出すぞー」って宴会でもしていたんでしょうかね。ということで、必ずこの神社で一休みするというありがたい神社だったようで、五体王子という格上の王子として扱われている。
やっぱり熊野の入り口的な予感は正しかったんですな。圧倒的に昨日までと雰囲気違うんだもの。装備も山用に変更して気持ちも十分ですので今日は張り切っていきたいところ。
ということで、先に進もうかなと思ったところで、一人のおっちゃんに会いました。藤白神社には語り部のボランティアのおっちゃんがいらっしゃって、特別なお部屋を見せていただけることに!せっかくなのでということで、貴重な仏像を見せていただいて、また熊野詣についてのいろいろを教えてもらった。こういうボランティアの存在はありがたいですね。
僕はこの時3つ峠越えるつもりだったので、あまり時間を取れなかったのですけども時間に余裕がある方はゆっくりお話しを聞かせてもらうことができますよ。日程的に余裕がある方はぜひ、お話し聞いてみては?旅が面白くなると思います。
峠越えは舐めたらあかん!冬でも滝汗の行
ということでコンパクトにまとめてもらったお話(20分程度)を聞き終え、ついに本格的熊野古道ルートに突入!おっちゃんは最後に、「この先はキツくなるよー」と言われて送り出してくれたんですが、もう完全に、その通りだった!おっちゃんに言われたタイミングでは、「まあまあわて結構歩くの得意やから、いうほどでしょ?」と相当に舐めていたけども、これがまあしんどい。思っていた30倍くらいしんどかった笑
かなり登っていくんですよね。登ってしかいない。いつの間にか下界が見えるくらいに見晴らしが良くなっている。眼下にわれらがマリーナシティが見える。くううう、黒潮市場いきたい。黒潮市場は和歌山の人ならみんな知ってるマリーナシティにある海産物のバーベキューとか刺身とかいろいろ食べられるところ。ビール欲しい。
峠越えがこんなにしんどいとは夢にも思ってなかった。え、いつ終わるん?これマジで?どこまで続くのこれ?という感じで死ぬほど休みたかったのだけども、足を止めたら終わると思って気力で歩いていく。冬なのに汗でびっちゃびちゃ。12月ですよ今。
額から水が流れ落ちてくる。お風呂入った後みたいな感じ。そんな12月ってあるんやー暖冬なところもあるけども、まじできついんですよこの道。景色はすっごいそれっぽいのだけども、楽しむ余裕もなく、少し写真を撮ってズイズイ登っていく。ペースとリズムが何より大事なもんで!
しかしかなり勾配がきつかった。登り終えた峠のてっぺんには藤白塔下王子がありました。「峠」を「塔下」って書くのかっこいいですね。記録帳みたいなものがあって、巡礼している人がメモを書いていくみたい。2023年9月からの分。結構使い込まれていて、メモも結構多い。ここ歩く人は結構いるんですね、この旅で初めて仲間の存在を感じた瞬間だった(だが、まだリアルな巡礼仲間には出会えていない)笑
少しだけ藤白塔下王子で休憩。ここからは下り坂なので少し気が楽なんだけども、足には下りの方が堪える。下りといってもすごい道を歩かされる。みかん畑や農道、もはや道?あ獣道か!ってところまで歩いて行く。途中で道に迷ってかなり時間をロスしてしまうということもあった。ここに案内板欲しいんですけども!っていうところにないとほんと困る。全員かなりロスすると思うです、この先の道は気をつけて!
本当は湯浅まで行こうと思ってたけど、時間も中途半端だし、今日のような峠だったら心折れそうだなと思って、無理せずに峠前の紀伊宮原駅あたりで今日は終了しようかなということで作戦変更。冬だし暗くなるのも早いしね、山道が多いと距離はそれほどでも時間がかかってしまうものなんだと、当たり前なことを再確認して、無理しないように自制する。
みかん畑の真ん中を通っていくので、そこら辺にみかんが落ちている。和歌山の道っぽいなあなんて思いながら一人とぼとぼ歩いていく。
目的地を紀伊宮原駅に変更したのだけども、それすらも暗くなってくる前に行かないとのでかなり危うい。急ぎすぎず、ゆっくりすぎずいい感じのペースを見つけながら歩いていきます。
ということで次なる峠を目指してスタスタ歩く。みかん畑を出てみると、お次はちょっとした住宅街に入っていきます。峠前の住宅街で、唐突に陽気な外国人に声をかけてもらう。「どこに行くんだっ!?」と英語で話しかけられる。和歌山で外国人に話しかけられるとは夢にも思ってなかったので、少し焦ったけども、「熊野だよ!」って答えると笑って「右だ!」って教えてくれた。あんまり人と話さない旅なので、こういうちょっとしたやり取りでも嬉しいものですね。
今日はおっちゃんに続いて、少し会話ができて嬉しい。やっぱりこういうのって大切ですね。基本的にこの旅は一人で歩いてるので、ここまでは日中ずーっと喋らずに歩いてたからね。話すだけでも少し嬉しく感じる。話すってのは大事なことなんですねえ。また当たり前そうなことを改めて認識する。
ということで、橘本王子、所坂王子、一壷王子をすぎて、峠を目指す。この辺りの王子はクセ強いの多いですね、橘本王子は寺の中にあるし、戸坂王子は橘本神社にあるし(ややこい橘本王子をこっちにしてくれよ)、ちなみに橘本神社はみかんの祖先がの木があったのだとか。土俵のある王子もあったし、さすが熊野の入り口を入っただけある、曲者揃いだ。
しかし、今日の工程はマジで山道、坂道が多い。冬、汗、すごい。ってカタコトになるくらいに、はあはあしながら登る。1人でも笑える位に汗をかいた。滝行だ。セルフ滝行。今たぶん和歌山で一番汗かいてると思う。
峠のてっぺんにある蕪坂塔下王子に到着。昔の人も峠超える時には休憩所いるよね、ここで少し休んであとは降りていくだけ、下りは足にくるからねー調子乗らずに踏みしめて歩いてく。
ようやく峠を降りた先の山口王子に着いたらもう16時になっていた。今から山をもう一つ越えたら余裕で17時はすぎてしまう。真っ暗になると山道は危険ですからね素人ですし。ということで今日はここまで。やっぱり日が沈むと寒くなってくるですね。まだまだ先は長いのでね、風邪引く前に帰りましょう。今日は和歌山で一番汗かいてる男なので。
ということで、駅に向かいました。駅に向かう途中で無人販売でみかん売っているのを発見。今日はみかん畑を後半ずっと歩いていたので、どんなもんなのかしら?ということで購入して帰宅。
10個入って100円だったけどめちゃくちゃうまかった。これ100円?って味、めっちゃうまい!!さすがみかん王国の和歌山ですね。今日は山道大変だったけど、ボランティアおじさんのお話も聞けたし、熊野古道感あるところも満喫したし、みかんも安く買えて、よい1日でした。また明日も頑張りましょう。
【熊野古道(紀伊路・中辺路)2週間280kmの歩き旅】
2023年12月4日から約2週間、熊野古道を280km歩いて旅をしました。ここではその旅のまとめ、僕自身の備忘録として、熊野古道巡礼(熊野詣)に関する事前知識や宿泊情報、費用、日々の記録などをまとめています。熊野古道のリアルな情報にご興味ありましたらぜひご覧ください。